第37話  サバイバーになった日

病院通いが終わり、やっとのんびりできる。

ちょうど良いタイミングでレースフォーキュアというイベントがあった。

乳がん撲滅のための募金集めのために行われるレースで、ランニングとウオーキングがあった。

1マイルウオーキングに参加した。


5時に起き、ワイキキの会場へ。参加費を払いTシャツと帽子を受け取る。

Tシャツは乳がん患者はピンク色。サポートする人は白いシャツだ。 白いシャツの人たちは、ゼッケンに色々な思いが書いてある。 

(母のために)(大事な友だちのために)読んでいるうちに目頭が熱くなる。


驚いたことにものすごい人数のピンクのシャツの女性達がいた。これだけの人が皆乳がんと闘ったのだ。

若い人、年配の人。 髪が長い人、短い人。

私はウイッグを外して、いがぐり頭にピンク色のシャツとおそろいの帽子を直にかぶる。

 

そしてピンクシャツの何倍もの白いシャツの人達。これだけの人が気にかけサポートしてくれている。その圧倒的な人数を見て感動した。


こんなにも沢山の人。 私はちっとも1人じゃなかった。 そしてピンクのシャツを着て歩く私はものすごく特別な気持ちがした。

両側には、もちろん白いシャツの夫と息子が一緒に歩いてくれている。


 この日、私ははじめて(元乳がん患者)から(サバイバー)になった。

 

たった1マイルだけど足がまだ痛かったのでゆっくりゆっくり歩いた。

ゴールをして、首にレイをかけてもらい、サバイバー全員で写真を撮った。

はじめてがんと戦った自分を誇りに思えることが出来た瞬間だった。


泣いてばかり転んでばかりいた私が、はじめて立ち上がって歩くことが出来たのだ。それは夫と息子のサポート無しでは出来ないことだったけれど、気持ちはすっと前向きになっていた。


こうやって歩いて行こう、ずっと。そう思った。

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