第33話  放射線治療始まる


8月の終わり。ついに放射線治療が始まった。


放射線治療とはものすごく簡単に言ってしまうと、残っている可能性のある癌細胞を放射線で(焼いてしまう)治療だ。


放射線は大好きなドクターSなので会えるのが楽しみだった。


一日目なので写真を撮り、放射線の位置を決めるのに1時間かかった。 ずっと裸なので寒くなってしまった。左腕も上げっぱなしで痛い。 胸に直接マジックでたくさん線を引かれた。


それだけでも驚いたのだが、なんと放射線を当てる印をタトゥーでいれたのだ。 3つの点。ちくり、ちくりと痛みがあった。


日本の本には(マークを消さないでください)と書いてある。タトウーでマークというのはいかにもアメリカだと思った。


ほくろよりも小さいが1つは今でも残っている。タトウー除去をする人もいるけれど、私はずっと取っておこうと思った。戦った証を戦士が自分に刻むようなイメージで誇らしい気持ちになる。


「しっかり焼かないとね、あなたの癌は結構攻撃的なのよ!」といって、なぜか私に怒る顔をする。 思わず笑ってしまった。 


毎回何か面白いことを言ってくれる。 夫も息子もこの先生が大好きになった。


この放射線治療は33回続く。 SFに出てくるような白い大きな機械の中に入るのでなんだか怖い。

なんと毎日これが続くのだ。


受付で名前を言い、服を脱いで紙のチョッキのようなものを着て用意をする。 技師が着て放射線の機械を操作する。白い大きな筒の様なものに横になったまま入る。この時少し怖い。閉所恐怖症の人はできないのでは、と思った。

 30分ほどだけど毎日なので大変だった。


数回目ですでに疲労感がでてきた。 これは抗がん剤が残っているせいなのか、放射線のせいなのかわからなかった。 今度の副作用は腹痛だ。お腹をこわす。

放射能被曝の本を読むと、被爆による症状は疲労感と下痢だと書いてあった。種類は違うのだろうけれど、軽い被爆なのかと思う。


最初は痛くもかゆくもないので喜んだのだが、回数を重ねるうちに日焼けのようになり、そのうち火傷のようになった。


治っていない切り傷の上からやけど。 もう本当にうんざりだった。


めげそうになった時は、

「身体の中に残っている癌も焼けてすごいダメージなんだ、やっつけているんだ」と思うことにした。

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