プロローグという名の詩

少女はとても体が弱かった。

ありとあらゆる病魔にむしばまれ、いつも苦しんでいた。

それでも少女の両親は優しく、過保護だった。

ありとあらゆる方法と物質で、少女を治そうとした。

いつかあちこちを駆け回れるように。

いつか様々な風景を見つめられるように。

しかし、少女は死に魅入られていた。

少女自身ですらも、己の運命に気づきつつあった。

それでも少女の両親は奇跡を信じ続けた。


そんなある日のこと。

両親が短時間の外出をした為、こっそり庭園を歩き回っていると、

不思議な本が落ちていた。少女はさっそく開いてみた。

本に書かれた文字列をなぞると、ヤギの頭をした何者かが現れた。

そして言った「願いは何だ?」

少女の願いは言うまでもなかった。「健康な体で生き続けたい。」

願いは確かに叶った。少女は色んなことをしたがった。

しかし、少女の両親は優しく、過保護だった。

少女はつまらなく思った。しかし両親のためと思い、ありとあらゆる夢を封印した。


しばらくして、運命を変える出来事が起こった。

この世界から、人間が跡形もなく消えてしまったのである。

「でも、なぜ自分は生きているのだろう。」

なんとなく理解した。自分は恐らく人間ではないのだ。

だから取り残されてしまったのだと。少女は寂しくなった。

結局いつも一人のまま、家に引きこもってしまった。


だが、さらにしばらくして、世界が少し変わった。

少女が耳にしたのは、いくつかの言葉。

さらに目にしたのは、人ならざる者達。

少女は理解した。自分は恐らく彼らと同種なのだ。

だからもう寂しくはないのだと。少女は嬉しくなった。

少女の名はノエル。悪魔と契りを交わしたウィッチだ。






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