2016年6月15日のニュースから

知的障害者3人の個室に鍵、20年拘束も 鳥取の施設

http://www.asahi.com/articles/ASJ6H4F6CJ6HPUUB00Q.html

これな。

朝日は記事のURLが消えるような気がするので、主要箇所を引用。


3人のうち60代女性は他の入所者の個室に入って掲示物を止めるためのマグネットなど小物類を食べてしまう癖があるといい、施錠期間は約20年。他の2人は40代で、暴力を加えたり受けたりするとして、それぞれ約7年と約3年にわたり施錠されていたという。


食事や訓練作業などで支援員とともに個室の外にいる時間はあり、鍵を掛けられていた時間は最近で1日6時間半~14時間だった。いずれも家族の同意は得ていたという。


「職員に虐待という認識がなかった」とする一方、「小物類を食べてしまうなど問題があるなら分析し、必要な支援をしなければならないが、それをせず、漫然と施錠を続けていた」


ここまで、記事から抜粋して引用。


さて、どう読んで、どう考えるか。


まず、「家族の同意は得ていた」という部分についてだけれど、そりゃ家族の立場からしてみたら、預かってもらっているという負い目があるから、反論はしにくいだろう。多くの障碍者の家族は、どこかしら「すいません、すいません」と言いながら日本の中で暮らしている感がある。家族の同意を得るのは筋としては正しいが、そこで得られた同意の裏には別の感情がある。


次に、施錠した職員側について。20年前、7年前、3年前、ともなれば、当初どういう理由で閉じ込めることにしたのかすら、実はあやふやなのではないだろうか。ましてや、20年前に知的障碍者に対する人権感覚が正しく共有されていたかというと疑問だ。7年前、3年前は、配慮する余地はあっただろうが。


ただ、施設の職員も多忙なのだろうとは思う。もし仮に、その三人に自由な行動を許すと、常勤職員が3名追加で必要ですってことになっただろう。だから3人追加してくださいって運営している県に上申したら、ちゃんと配備してくれるのだろうか。どうせ言うだけ無駄という諦めはなかったのだろうか。組織に問題があれば組織を変える必要があるが、日本はえてして組織が変わりづらい。特に公的機関は。


最後の県側の説明は、障碍福祉課長によるものだが、この課長(公務員の課長クラスはだいたい3年周期で異動になる)は、福祉の現場も家族も、疲弊しきっているという肌感覚をどれだけ持ってくれているだろうか。


誰もが疲れきっている中で、このような虐待が起こっていて、誰も幸せになっていないということの苦々しさを、どのくらい感じてくれているだろうか。

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