第9話 褒め言葉にご用心
あなたが街を歩いていて、突然見知らぬ異性から話しかけられた。
「とても素敵ですね。あなたほど魅力的な方は初めてです」
などといわれたらどう思います?
常識的な感覚ならば、警戒するでしょう?
あなたがジャニーズアイドルやAKB48でもない限り。
ところが、ここカクヨムにおいては、この見知らぬ相手からの
絶賛やら賞賛やらがバンバン飛び交っています。
理由はみんなもご存じ、お互いに星や良い評価のやり取りをしたいからです。
別にそれに異を唱える気はない。そうする気持ちもわかる。
それに相手の作品の良いところを指摘し、褒めて伸ばすのはとても良いことだ。
それが本当に良い部分ならば、だが。
カクヨムのホームページでは真っ先に評価のついた作品が紹介される。逆にいうとまず評価されない作品はほとんど日の目を見る機会もないようなシステムだ。
これはある意味正しい。誰かの保証のついた作品を前に出すのは最低限の保証のついたものを前に出すことにより、それなりのクオリティの作品をサイトの訪問者に提供でき、良いイメージを示しやすくなるからだ。
ただし、これが本当に本気で良いと思って評価された作品ばかりならば、だ。
星のついた作品につけられた評価のタイトルをごらんなさい。全米が泣いた!が控えめに思えるくらいの美辞麗句のエレクトロニック・オンパレード!
大傑作やら感動の渦やらがぽいぽい出てくる。プロの作品でもそうそう出てこないような仰々しい単語が頻出し、こちらの感覚までマヒしてきそう。
なんだかまるで、いかに大袈裟な賞賛な言葉を並び立てることができるかを競っているかのよう。
もちろん中には賞賛に値する作品もあるだろう。しかもそんな良作は1%にも満たないというのが僕の実感だ。
さて、もう一度繰り返す。作品の良い部分を見つけ、褒めて伸ばす。確かにそれはとても良いことだと思う。しかし悪い部分までも含めてとにかく相手からの星や良い評価を期待して褒め倒されたらどうなるんだろう?
まさか自分の作品が100%パーフェクトと感じてる作者は少なかろう。それなのにとにかく褒められ褒められ褒められまくる。しかも相手の目的を知った上でだ。
どんな気分なんだろうか。
ちなみに僕は作品に星がつくどころかPVも稼げないので論外なんだがw
僕も気が向けば他人の作品の評価も書くこともある。
まず大抵は文章が下手すぎなのでマイナス1だが、そこは目をつぶろう。
とにかく見るのは、作者がこの作品に対して
どれだけ情熱を注いで書いたかどうかだけ。
その気概を見る。
作劇の技術とかよく知らんし。
書くとき内容についてちゃんと調査してあるか、とか、文章を読みやすいよう工夫しているかなど。
小説以前の基本的なことができていればまず満点を入れます。小説の新人賞なら一次予選は通過するレベルでしょう。
(そう! なんと、大抵の小説の新人賞一次通過はここまでレベルが低い)
書き込む文章も思ったことを書くだけ。嘘は書かない。
悪いところがあれば指摘するし、良いところがあれば褒める。
それだけ。なんの芸もない。
それに、あからさまに過剰な心にもない賞賛の言葉を連発するなんて、僕には慇懃無礼にしか思えないから先方に失礼過ぎてとてもできない。
ああいったものを書かれた側はどう思っているのだろう?
素直に喜べるものなのだろうか?
下心が見え見えなのに。
僕が今後、カクヨムで活動していくにあたっては、心にもない過剰な賞賛の言葉を書き散らして自作へのその見返りを期待して書き続けていくのが賢い選択なのだろうか?
正直にいわしてもらえば、カクヨムで一番面白いのはエッセイだと思う。サイトの考察などが充実していて攻略本的な楽しみがある。
けど小説に限って言えばいくら星があっても、面白いどころか、まともな日本語の文章すら書けていないことが多過ぎる。ケアレスミスレベルじゅねーぞ、あれは。
小説とは文芸だ。文章の芸術。文章がまともに書けなくて小説やれんの?
ちなみに小説のというのは日本語の文章の中で上から2番目に難しいとされている文章なのだ。
ちなみにトップは、
褒めて伸ばす、ということに反対はしない。しかし的外れな賞賛だったら?
当人が間違って信じ込んでいる長所を伸ばしてしまったら?
もちろん、そんなことは知らない。こっちはお返しの星や賞賛が欲しいんだけなんだ、ということならそれも良しだ。
自分をいかに育てるのか、というのも自己責任だ。他人が知ったこっちゃない。
もちろん僕だって知ったこっちゃない。自分のぶんで手一杯なんだから。
しかし……ただの悪口と欠点の指摘と指導を自ら見分けられないようでは、
自らを成長させることは難しいだろう。
それは僕自身にも言い聞かせるべきだろう。
謙虚であれ。そして作品を書くときは欲望の使徒であれ。
さあ、今夜も書こうか。
ではでは~♪
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます