第6話 想い

自分で何を考えているんだ、そんなことでどうすると言い聞かせて作業を行う

いつものように事務作業で夜遅くなり、休日の作業内容を書いて退社

夜の中を車が走る

音楽を流しながらも今日のあの思い「亡くなればすべてが消える」

その自分の言葉が浮かんでは消える

いつしか音楽のボリュームはゼロになり、フロントガラスに受ける雨を流す

ワイパーの音だけが車内に響いていた

帰宅すると妻が「今日は雨だったけど大丈夫だった?」と心配する言葉が

「いつものように頭が重たかったけど何とか仕事を終えたよ」と返事しておいた

風呂に入って遅めの夕飯と酒を呑む

眠る前にPCでメールのチェックとネットのニュースを見ていると

「連続放火魔の動機は自己の再生と証言」

前日の火事の報道は収まりつつあるけけど続いている

彼は自分の苦しみを上手く表現することが出来ず

それならば全てを消してしまえと思ったのだろうか?

悲観的な考えを持ち、それに支配されてしまうのは鬱の症状に一つだ

自分の中でズレが生じる時もそんな考えが浮かんでくる

それに立ち向かうのはかなりの精神力を消費して酷く疲れる

自分は大丈夫と思えるまでに時間が掛かるし薬も飲まなくてはならない

「消える」「死ぬ」常に心の中に潜んでいる

またその言葉に優しさを感じるのだからいつも危険な所を歩いている

人は追い込まれれば心を病む

一度病んでしまえば完治する事は難しく、危険な言葉を常に持ち歩くことになる

どれだけ心配されても、どれだけ良い言葉を聞かされても

何も変わることは無い


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