第5章 契約者の資質
昼食が出来たと呼ばれ、ルーナとメリアの所へいく。
「ラウクシナさん。ハワンドさんと契約してあげることは出来ないんですか?」
「それは無理だな。ハワンドは風属性だ。私は水属性。同じ属性以外は契約そのものが出来ない。私のことはラウと呼んでくれていい。名前が長く呼び難いだろう。それに敬語はいらない。」
そういえばルーナには同属性の竜としか契約出来ないと話してなかったかもしれない。
「ラウさん。竜同士は互いのいる場所がわかったりするものなのか?」
「なぜそのような質問をする?」
ハワンドはどうしても風竜と契約したいと思っているのだろうか。
諦めきれないその理由がなぜなのだろう。
『ハワンドは何がしたいのです?』
『風竜と契約したいそうだ。強くなりたいとは言っていたが、その理由までは知らないな。』
「俺は風竜と契約がしたい。俺は強くならなければならないんだ。」
ここまでは俺も聞いたことだ。
強くなりたい理由は俺も知らない。
「なぜそこまで強さを求める?今のままでも十分生活に困らないだろう?」
「俺は、10年前にある男と姿を消した姉を探しているんだ。」
男と一緒にいなくなっていたのか。
所謂駆け落ちというやつだろうか。
「なぜ姉を探すのに強さが必要になる?今のままでも十分旅には困らないだろう?」
「一緒にいた男が気になるんだ。敵ではないとは思うんだが、あの男は強かった。2人揃って消えた後、俺は知らない連中に襲われたんだ。家は壊され住むところはなくなった。なんとか俺は逃げることは出来たけれど、姉の行方はわからないままだった。俺は一人で生きるしかなかったんだ。だから旅に必要な知識も、剣術も身に着けた。俺の家が襲撃されたということは、姉かあの男のどちらかが狙われているるとしか思えない。あれほど強い男が逃げるしかないというのなら、相応の強さのある所から逃げていると推測したんだ。もしかしたら捕まってしまったかもしれない。だから姉を助けるには俺はもっと強くなるしかないと思った。」
一通りの事情を説明したハワンドは俯いて黙ってしまった。
ルーナの保護者を引き受けた理由は自分と境遇が似ていたからか。
その男というのが気になるな。
強いが姉と一緒に逃げた・・・。
「なるほどな。男は強いが逃げたというが、男の特徴を覚えている限り教えてはくれないか?少し気になってな。」
竜と契約と聖地への扉 華音 @kanon-natuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。竜と契約と聖地への扉の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます