第4章 隠された湖8
大きな街はどこを歩いても人で溢れていて、店の種類も数も多く、一つの店舗で扱う品数も多かった。
俺は装備を扱う店のひとつに入って、ある物に気づいた。
光の加減で虹色に輝く銀の鱗。
これはもしかして・・・。
「お客さん。いい物に目を付けましたね。」
じっと見ていると店員らしき男に話しかけられた。
「これは・・・?」
「それはなかなか手に入らない物でして、値段は高くなってしまうんですがね。なんせ銀聖竜の鱗から作られた一級品なんですよ。最近仕入れたばかりなんですが、次の入荷はまだわからないんです。売りに来てくれた方にまた手に入ったらお願いしますとは頼んだんですが、次がいつになるのかわからなくて。私が生きてるうちに来てくれるといいのですが・・・。」
気になるのは、今では見かけることのない銀聖竜の鱗をどう手に入れたのかということ。
そして、見てすぐに防御魔法が組み込まれているのがわかった。
けれど、これを売りに来たという人が気になる。
買っても使い道がないのも確かなものに、高いお金を払うのもどうかとは思うが。
竜の鱗にこんな使い道があったとは・・・。
「銀聖竜の鱗ですか。確かに珍しいものですね。」
どうしようかと迷っているとハワンドが近づいてきた。
「ケシル。どうした?」
「銀聖竜の鱗で出来たアクセサリーがあるんだ。」
買えない金額ではない。
必要かといわれれば必要ない。
けれど、これは出回っていいものでもないと思う。
買うしかないか・・・。
「へぇ。珍しいな。けど、銀聖竜の鱗なんてどう手に入れたんだ?一番出会う確率が低いのに。そう考えると本物かどうかも怪しいんだが。買うのか?」
「確かに、本物かと言われるとどうなんだろうね。偽物だった場合この値段は高いよな。」
魔力からして本物に違いないが、ハワンドの言う通り、本来これが本物かを見極めることは難しいのだろう。
銀聖竜を知らない者が殆どで、知らなければ見極めも出来ない。
「それは本物ですよ。銀聖竜は銀の鱗ですが、光の当たり具合では虹色に輝くのです。」
「あんたは銀聖竜に会ったことがあるのか?」
確かにこの言い方は自分が見てきたように受け取れる。
どこでどうやってその姿を見たのか。
人の世界で銀聖竜が竜の姿をとることはないと言っていいだろう。
「ありますよ。1度だけですが。」
店員の男が嘘をついているようには見えなかった。
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