第4章 隠された湖6
会う可能性があるとすれば銀聖竜か、各属性の貴族と呼ばれるトップクラスの竜たちだろう。
それも竜の姿ではなく人の姿で。
そして竜と気付かずに別れることになる。
竜に会ったという事実に気づかないままに。
いろいろと考えていたらしいハワンドが、昼食の後の休憩時間に、覚悟を決めたような顔をして話し始めた。
「さっきケシルに聞いたんだが、竜と契約すれば、魔力の制御が上手くできるらしい。」
その言葉にメリアが俺の方を見た。
苦笑いで返した俺に、メリアは呆れたようでもあったけれど、どこか諦めたのか話の続きを聞くためにハワンドのほうを向いた。
「そうなの?でもメリアは何も言わなかったよ?」
「うん。だって竜と出会うって簡単じゃないでしょ?自分で出来るならそのほうがいいと思うし。」
確かにメリアの言う通りだ。
竜と出会うことばかりに気を取られるよりは、自分で出来るように練習したほうがいい。
「そっかぁ。でも、契約か・・・。」
「俺は竜を探そうと思う。」
ハワンドの言葉に、俺とメリアは顔を見合わせた。
予想通りの展開になっていることにため息をついた。
「簡単なことじゃないと思うんだけど、それでも探すの?」
「簡単じゃないことくらいわかってる。今まで1度も野生の竜に会ったことがない。もしかしたら一生会えないかもしれない。それでも少しでも可能性があるのなら賭けてみたい。」
これが覚悟というものなのだろうか。
俺が口出し出来るようなことではないと思った。
時間の許す限り、付き合おう。
この先どうなるのか見守るのも悪くない。
ハワンドの竜を探すという発言から1か月以上は過ぎたように思う。
あれから全ての依頼を終わらせて、次の町に行き、依頼完了手続きと一緒にハワンドが自分の得意属性を調べたいと言ったら、大きな街の設備が整ったギルドでなら調べることが可能と言われた。
大きな街までそれなりの日数をかけてやっとたどり着いた。
ハワンドと一緒に旅を始めて2か月が経っている。
長いようで短いもんだなと思った。
今、ハワンドはギルドで得意属性を調べてもらっている。
時間がかかると言われたこともあり、俺はメリアとルーナと共にカフェに入った。
きっとこのカフェで昼食になるのだろうと思った。
今日はこのままこの街に泊まることになりそうだな。
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