第3章 ルーナの決意4

擬態・・・。


竜が自らの姿を変える。


本当に一部の竜にしか出来ない魔法。


その半分ほどが人の世界で暮らすと言われている。


見た目は人と変わらないため、誰も見分けがつかない。


言葉ですら自在に操る。




「竜と契約して騎士として、国に属している竜騎士というのもある。」



「竜騎士!?」




竜騎士か。


嫌な言葉を聞いた。


竜は契約者を守る。


そしてその契約者が国に逆らえない状況にあって騎士として働かなければならない場合、竜も守るために共にいることになる。


それが、竜騎士となったと聞いた。


竜は契約者を守っているだけであって、人の国に従っているわけではない。


契約者に何かあれば、すぐに牙をむくだろう。




「俺の知り合いにも竜騎士がいるんだが。あまりいい感じは受けないな。竜と契約したことが国に知られると、竜騎士にされると聞いた。」



「だから、村の人が国がどうとか言ってたんだ。無理やりってこと?それ酷いなぁ・・・。」




ルーナの父親は国から逃げているのか。


だとすればルーナをこのまま保護し続ける必要がある。


ルーナのためというより、火竜のために。


これ以上竜を国に縛らせるわけにはいかない。


「知り合いの竜騎士が言ってたんだが、契約すると竜との会話が出来るようになるらしい。こうして声に出す会話と違って、直接頭に声が響くと言ってたな。気づかれてしまったからもう隠す必要がなくなったらしい。」



「テレパシーみたいな感じなのかな。やってみたいなぁ。」




人によって、竜が捕らわれた状態になり、少しずつ暴かれていく。


それが竜の警戒心を強めていると知らずに。


けれど、次のハワンドの言葉には俺も驚くことになった。




「そういえば、竜と契約すると聖地に行けるって話があるな。知り合いの竜騎士は知らないって言ってたけど。」



「聖地!?」




思わず俺が聞き返していた。




「俺も噂で聞いただけなんだが、それがどんなところなのか、どうやって行くのか何も誰も知らないんだよな。なんせ竜と出会うことが奇跡みたいなもんだからな・・・。」




聖地というのは俺も初めて聞いた。


メリアも驚いた顔をしているから知らなかっただろう。


父なら何か知ってるだろうか。


後で聞いてみることにしよう。


この日は野宿をすることになり、町に着いたのは次の日の薄暗くなった夕方の時間帯だった。


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