第3章 ルーナの決意2

ルーナは悲し気に語っている。


お父さんとの別れが辛かったのだろう。


赤い竜ということは火竜。


そして竜の姿しか見ていないということは、一般の竜だろう。


貴族であれば、人型で行動するはずだ。


そして竜としての姿は見せないだろう。




「火竜・・・。いなくなったっていうのは、また竜に攻撃されると村人が言ってたことと何か関係あるの?」




竜は危険を察知しなければ戦闘態勢に入らない。


そして攻撃しなければ人へ攻撃することはない。




「村の人が、国の役人の所にお父さんを連れて行こうとしたみたいなの。私は川に行ってて気づかなかった。でも、赤い竜が怒って、村を焼こうとしたって。お父さんと一緒に竜はどこかに行っちゃったけど、村の人は私を国に売ると竜に村を焼かれると思ってるみたい。前に何があったのかは私にはわからないけど、村の人に言われたんだ。」



「村人は火竜に対して何かをしたか、ルーナのお父さんに何かしようとしたか。そうじゃなければ竜から攻撃しようとはしないはずだから。危険を察した竜が、ルーナのお父さんを連れて逃げたんだと思う。今まで迎えが来なかったってことは、今も危険な状況にいるのかもしれない。」




悲しそうな笑顔で話すルーナに自分が思うことも伝える。


昼食に近い時間帯だったけれど、メリアが遅めの朝食を作ってくれたのを食べながら話を続ける。




「ルーナの話からすると、ルーナのお父さんは契約者ということになるな。竜は契約者を守ると言われている。」




ハワンドはある程度竜に関して知っているようだ。


説明をハワンドに任せ、俺は聞き役に回ることにした。




「でも火竜と契約出来ることが凄いことだよ。火竜はなかなか人に懐かないみたいだから。」




メリアの言葉にルーナが驚いた顔をした。


確かに、火竜は気性が荒く、人に懐くことが珍しい。


そのために契約出来る人も少ないと言われている。


銀聖竜ほどではないが。


銀聖竜と契約出来た人は過去に何人かいたらしいが、ほんの一握りらしい。




「お父さんと一緒にいた竜は優しい顔してたよ。普通は懐かないの?」



「ルーナ、優しい顔をしていたと思うのなら、それはルーナのお父さんが契約者だからだろう。竜そのものが人に懐くことが珍しいんだ。昔は共に生活していたらしいんだが、今となっては竜を見かけること自体が難しいだろうな。ルーナは竜についてどのくらい知ってる?」




ルーナは自分の問いに答えてくれたハワンドの話を真剣に聞いている。


ハワンドもどのくらい知っているのだろうか。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る