第3章 ルーナの決意
朝食はルーナの分まで用意されていた。
俺たちに気づかせないためなのかと、会話を聞いてしまった俺は勝手に推測していた。
けれど、それは朝食からする匂いで勘違いだと気づかされる。
メリアも匂いにはすぐに気づき、俺たちは朝食をいただくことをやめて、すぐに出発した。
見送りにきた村長に、急ぎの用を思い出したため、朝食をとる時間がなく、すぐに出発するとだけ伝え、足早に出てきた。
村を出て、追ってくる気配がないことがわかり、安堵する。
「急ぎの用でもあったのか?朝食美味そうだったのに・・・。」
ハワンドが疑問に思ったのか聞いてきた。
どうやら気づいたのは俺とメリアだけだったらしい。
「ハワンド、急ぎの用なんてないよ。ルーナの食事に毒が入ってた。俺たちだけ食べて、ルーナが食べないのは不自然だと思ったから、急いでるということにして、出てきたんだよ。」
メリアも頷いている。
ルーナは驚き、直後に悲し気な顔をした。
「マジかよ。俺気付かなかった。メリアも気づいてたみたいだな。お前ら兄妹はそういうのも詳しいのか。すごいな・・・。」
「匂いに敏感なだけだよ。」
村からある程度離れ、安全だろう場所で朝食をとることにした。
「ハワンド、俺たちは東に向かってるから元の街には戻らないけど、どうする?」
ハワンドがもし、あの街に戻ってしばらく滞在したいというのなら考えなくてはならない。
先に聞いておけばよかったなと思った。
「俺は今の所、目的地はないから、ケシルたちに同行していいならこのまま一緒に行こうと思うが、いいか?」
「俺たちはかまわないよ。それと、さっきの話なんだけど。」
もうルーナは感づいているだろう。
隠すことではないし、聞きたいこともあって、ルーナの前で男たちが話していたことについて話そうと思った。
「ルーナに聞きたいことがあって。もし知ってたら教えてほしいんだ。」
「うん。いいよ。」
ルーナが父親のことを覚えていてくれることを願う。
「あの村で話してる人たちの会話が聞こえてきちゃったから聞いてしまったんだけど。ルーナのお父さんが竜と親しくしていたって言ってたんだ。そうなの?」
「うん。お母さんは私が生まれてすぐに死んじゃったんだって。私が物心ついたころにはお父さんは赤い竜と一緒にいたよ。でもね、お父さんと赤い竜いなくなっちゃった。」
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