第2章 旅仲間6

「依頼の魔物は討伐した。もう大丈夫だろう。」




ハワンドの言葉に村長と村人は安堵の表情を見せた。




「宿を用意させていただきました。3名分の食事と部屋の準備が出来ています。」




村長に宿まで案内され、村で唯一の宿だという場所にたどり着いた。




「なぁ。村長さん、ルーナの家はどこにあるのか教えてほしいんだが。」



「ルーナとは誰のことでしょう?この村にはそのような名前の人はいませんよ。」




村長の雰囲気は何も変わらない。


本当にルーナはこの村の子ではないのか?


一人で旅を続けていたということなのだろうか。


もしそうだとしても、何も荷物を持っていないことも気になる。


そして、メリアと一緒にルーナが見える位置にいるのに、気づいていないようにも見える。


ハワンドがルーナのほうに行き、村長にもう一度聞いた。




「この子は本当にこの村の子ではないのか?」




村長と目が合うとルーナは震えだした。


ルーナと村長の間には何かがあるのではないかと思えてしまう。




「いえ、この村の子ではありません。」



「それならば、この子も一緒に宿に泊めさせてもらえないか?迷子なら届け出なければならないからな。」




ハワンドの申し出に村長は顔を引き攣らせたけれど、すぐに元の表情に戻り、渋々了承した。


夜明け前に目が覚めてしまった俺は、少し散歩をしようと思い、宿を出た。


少し歩いたところで何人かの気配を感じ、耳を澄ませば話し声が聞こえた。


微かに聞こえた言葉が気になり、気配を消してよく聞こえる範囲へ近づいた。


他から見つからないようにするために隠れるようにして、聞き耳をたてる。




「なぜ、あの魔女が宿に・・・。」



「森に捨ててきたんじゃないのか?」




魔女・・・?宿・・・?森に捨ててきた?


思いつく中で当てはまるのはルーナだが。




「まさか・・・冒険者を騙したんじゃ・・・」



「魔女だから何かしたのかもしれない・・・。」




やっぱり冒険者を騙すってことは魔女はルーナのことを言っているのだろう。


この内容からすると、ルーナはこの村に住んでいたことになるのだが。




「あんなのがいつまでこの村にいるんだ?夜も安心して眠れやしない。」



「やっぱりあの時殺しておくべきだったんだ。また竜に攻撃されたらもうこの村は終わりだ・・・。」




とりあえずルーナをこの村に置いておくわけにはいかないことはわかった。


問題はその後の言葉だ。


竜が村を攻撃した?


そして、また、と言ったということはルーナは竜と関わりを持っているのだろうか。



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