第2章 旅仲間

一つの街にたどり着いた旅人の恰好をした男女がいる。


ブラウンのサラサラとした髪と同色の瞳を持つ2人は、男をケシル・ロード、女をメリア・ロードという。


見た目はどちらも細く、中性的な美しさの整った顔をしている。


違いといえば、身長と髪の長さ、服装くらいだろう。


ケシルは身長175で肩に届く程度の髪の長さは男からすれば長いほうだろう。


メリアは身長160で腰に届く長さの髪を後ろで一つに束ねている。


その名の通り、よく見ると似ている顔をしている2人は兄妹であり、約1年ほど前に父親から修行の旅に行ってこいと、いくつかの頼まれごとと共に、放り出されたと言っていい。


兄妹の家ではある年齢になると男は旅に出て世界を見て回り、様々なことを学んでくるという決まりがある。


旅に出るときに父親からの頼まれごとはつきものだった。


妹のメリアは両親に頼み込み、兄弟の中で最も尊敬する年の近い兄と共に旅に出ることが出来た。


最初にギルドに行き、登録してから旅をしろという父親が言う通り、2人は真っ先にギルドに行き、冒険者登録をした。


魔物を討伐した後の使える部位を売ったり、人からの依頼を受けたりすることでお金を稼げる所だ。




「兄さん、早く依頼受けよう。場所によってはすぐ出発しなきゃいけないんだよ。」



メリアに腕を引っ張られてギルドに入り、依頼掲示板を眺める。


依頼を決めて、受付に行く。




「ロールドさん。こちらの依頼は最低でも同ランク後1人必要になります。人数が揃うまでお待ちください。人数が揃い次第で出来る依頼ですが、こちらで待ちますか?」



「いえ、また明日きます。俺たちだけ先に受付お願いします。」



依頼の殆どは、受けた場所とは別の場所で完了報告も可能である。


素材や薬草が必要という場合は、受けた場所に完了報告をしなければならないが、魔物討伐などの依頼は旅をする冒険者としては、別のギルドのある場所で完了報告が出来るのはありがたいことだ。




「兄さん今のうちに買っておくものあるから買い出しにいこう。宿のほうが先かな。」



「宿が先のほうがいいだろうな。あまり遅いと部屋が取れなくなるかもしれない。行こうか。」




メリアが買うものがあるというのでついていくことになる。


あれも買って、これも用意して・・・とメリアが呟く。


俺としては揃える物から食事までしっかりと管理してくれる良き妹がいてくれて助かっている。


メリアから言わせると俺は“私がいないとちゃんとご飯を食べない”らしい。


魔物を捕まえて、その肉を火で炙って食べてはいる。


俺のこの食事はメリアからするとちゃんと食べるには入らないらしい。


栄養バランスを少しは考えろと言われたことがある。

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