竜と契約と聖地への扉

華音

第1章 序章

火竜、水竜、風竜、地竜、そして竜をまとめ頂点に立つ、竜の王族である銀聖竜。


彼らの中には一部分ではあるが、人の姿をとることのできる竜がいる。


人の姿をとることのできる竜は、4属性の中でも貴族と呼ばれる竜たちと、王族である銀聖竜。


竜界があるにも関わらず、人の姿をとることのできる竜は、人の世界に紛れ込んで生活していたりする。





魔王を頂点とする下級、中級、上級、最上級の4段階に分けられ存在する魔族。


彼らもまた、王族があり、最上級より強い力を持つ。


最上級の魔族は貴族と呼ばれ、貴族と王族は人と同じ姿をとることも可能であり、竜族同様に人に紛れ込んで生活をしている魔族もいる。




そして、魔力を体内に持って生まれる人間。


王がいて、王族がいる。


人の中にも貴族は存在し、存在する種族の中で一番貧富の差が激しい。


体内に魔力を宿すものの、魔法として使える者ばかりではない。


たいていは生活に必要な簡単な魔法は使えるようにはなるが、属性全てを扱えないのが現状だ。


魔力が十分にありながら、魔法を全く扱えない者の中には、竜と契約という形で魔法を使えるようになる者が存在する。




時が経つにつれて、人々の中には竜族との契約を求め、竜を狙い、捕らえて拘束し、無理やりに契約をさせる者たちが出てくるようになった。


次第に人の姿をとれない竜たちは、人の前に姿を現さないようになる。


そして、竜との出会いを求める冒険者が増えていった。


理由は様々だけれど、強くなるために、竜と契約したい。


竜は自らの意志で契約する者を選ぶ。


竜に関する情報が少ないのは、契約した者が話せないからといわれている。


何故なら竜は人と契約をする時に、竜族に関する全てを、竜との契約者である人以外に話せなくする魔法をかけるからだ。


希少な竜との契約者を人の権力者が放っておくはずもなく、家族を人質にとられた契約者は、仕方なく従うしかなかった。


そうして集められた彼らは、国王直属の部隊となる竜騎隊として働かされる。




人々の中にある噂が流れていた。


《竜と会話が出来る者がいるのではないか》


契約者に、竜にこうしてほしいと頼むと、竜が必ず頼んだことをしてくれたというのが噂の元になっているようだ。


その噂は間違ってはいない。


竜独自の会話方法があり、竜と契約することにより、契約者は竜との会話が可能になるのである。


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