第61話 いざ、熊本城!編
旦那の朝風呂を済ませた後、私たちは『竹ふえ』を後にし、この旅の最終目的地・熊本城へと向かった。九州を縦断したにもかかわらず、江戸時代の史跡は殆ど見ることが出来ていないので本当に楽しみだ。
「新幹線の時間まで余裕があるから、目ぼしいところは全部見れるよね」
そんな会話を夫婦で交わしていたのだが、この考えが如何に甘いものかと思い知らされるのに時間はかからなかった。何せ熊本藩54万石、日本三名城のひとつに数えられている熊本城だ。同じ新幹線の駅が近くにあるとは言え、地元・小田原城と同レベルで考えるほうが間違っている。
そう、熊本城は信じられないくらい広くて大きかったのだ。とにかく門から見渡せる敷地が広すぎる。江戸城のように全国から大名が集まり、登城するような城ならこの広さも納得できるが、熊本城に登城するのは藩士及び用事のある領民だけのはずだ。
築城の名手・加藤清正公が持てる知識と技術を結集して作り上げた『芸術品』として見るのならば最高傑作の一つと言っても過言ではない。しかし毎日『通勤』する藩士は大変だったろう。何せ門から建物までの距離がかなり遠いのだ。余裕を持って、などという生易しいものではない。
それほど多くの城を見てきたわけではないので確かなことは言えないが、江戸城以外の城の中では日本で一番でかいんじゃないか?と思わせてしまうほど、熊本城は広大で巨大だった。
「こんなに大きな城を作るなんて。加藤清正はもしかしたら天下を取る気でいたのかなぁ」
政庁としては無駄に広い熊本城、もしかしたらそんな野望が?と一瞬思ってしまったが、単純に自分の理想を形にしたかっただけなのかもしれない。そして加藤清正の理想を現代まで保ち続けているのが現代の熊本県人なのかもしれない。得てして領民は『おらが殿様LOVE』なのである。
でなければこの広大な熊本城の復元に多くの税金や寄付金を使おうとは思わないだろう。私たちは空きがあった駐車場に車を止め、何も考えず入り口である頬当御門に向かって歩き始めた。だが、すぐに『もっと入口近くの駐車場に車を止めるべきだった』と後悔することになる。
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