第50話 ご当地ぷっちょ・30分で一本喰い編
旦那に最初のぷっちょを渡してから30分後、私の手の中には最後の一粒だけが残っていた。どうやら旦那は『ぷっちょ・晩白柚味』がかなりお気に召したらしく、ものすごい勢いで食べ続けたのである。しかもものすごい速さで・・・5分毎に一粒は確実に口に中に放り込んでいる。
あくまでも個人的な意見だが、ソフトキャンディの類はもう少しゆっくりとした速度で食べるものではないだろうか?少なくとも30分で一本近く消費するような食べ方は普通しない。このとんでもない食べ方から見ても、旦那は今までぷっちょやハイチュウなどを食べたことはないと思われる。
(わんこそばじゃ無いんだから、もっと味わって食べればいいのに)
結局私が口にしたのは最初の2個だけである。それ以後は旦那の勢いに気圧されて一粒も口の中に入れていない。というか私が食べたらものすごい剣幕で怒られそうである。私が購入したにも拘らず。
何となく理不尽なものを感じるが、珍しく食欲魔神と化した旦那は聞く耳を持たないだろう。そうこうしている内に旦那の口の中にあったぷっちょは無くなり、お代わりとばかりに手を出し述べてきた。
「これ、最後の一粒だからね。味わって食べてよ」
私は念を押しながら旦那に最後のひと粒を渡す。すると旦那はすぐさま最後のぷっちょを口の中に放り込んだ。そんなに慌てなくても誰も取らないから、と思わず言いそうになったが辛うじてその言葉を飲み込む。兎にも角にも旦那がここまで一つの菓子をバカ食いするのは初めてである。
(こんなに食べるんだったらもう一本くらい買っておけば良かったかもなぁ)
多分ご当地もののぷっちょであれば、どこかのお土産屋さんで扱っているだろう。最悪熊本駅の土産物売り場には有るはずだ。アレだけくまモンが占拠しているのだ、ぷっちょの入る余地くらいきっとある。
そんな皮算用を頭のなかで考えている内に車は宿の近くまで進んでいた。到着まであと30分もかからないだろう。私は助手席で大きな伸びをして凝った首をぐるぐる回した。なお翌日旦那は熊本駅で5本入りのぷっちょパックを購入することになるのだが、それは余談である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます