第336話 創作のプレゼント




 深夜に友人からメールが届いたので開いてみたら、文章と共に私の好きなキャラクターのイラストが添付されていた。イラストはとても上手だった。

 遅れてしまったけど誕生日祝いだという。描くのに一ヶ月かかってしまったという。

 絵にはHAPPY BIRTHDAYの文字と私の名前が入っていて殊更に嬉しかった。

 絵を描くことを仕事にしている人ではないので、本当にこのために描いてくれたのだと思う。しばらく眺めてからフォルダに保存した。


 絵にしろ文章にしろ、創作にどのくらい時間がかかるかは人それぞれ。

 しかし、創作に費やす体力や根気、モチベーションの持続がとてつもなく大変なことであるのは私も身に染みてよくわかっている。ましてや社会人なら尚更だ。

 商品代や送料はかかるかもしれないが、プレゼントするなら店へ行って品物を選んで買って送った方が遥かに楽なのである。それでも十分嬉しい。

 そのお金で解決できることを、あえてお金で解決できない方法で祝ってくれようとするこの気持ち……胸が熱くなる。世界で一枚しかないイラストだ。本当に一枚しかない。


 私は幸福な気持ちにあるうちに、ハッピー感あふれる顔文字や絵文字を散りばめた返事を書くのである。鬱陶しいくらいに派手に、喜びを色彩るのである。

  

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