第335話 「四月」




 日々に追われていると、こういう気持ちを忘れてしまう。

 金子 みすゞの詩「四月」のような、何の損得もない純粋な気持ちを。


 ***


 新しいご本、

 新しいかばんに。


 新しい葉っぱ、

 新しいえだに。


 新しいお日さま、

 新しい空に。


 新しい四月、

 うれしい四月。


 ***


 4月というものが純粋に嬉しかったのは、子供のうちだけかな。

 大人になったら、暴風春一番のごとく、一気呵成に通り過ぎるものになってしまったね。

 寂しく思う前に、諦める癖がついてしまっていたよ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る