第333話 「3月のライオン」
羽海野チカさんの「3月のライオン」を読んでいる。
7巻を読了したところだけど、この時点で3回号泣、5回くらいボロ泣き。
深夜にシクシクと読んでいるのか泣いているのかに忙しい自分は、傍から見たら相当気持ち悪いだろうと思う。
でも泣いちゃうんだ。派手さはなくても、将棋という一手入魂の勝負の世界に生きる者たちの強さに、画面からビシバシ圧倒されるのだ。
「3月のライオン」はプロ棋士の世界を描いた作品。
何が良かったのか悪かったのか、勝ち負けすらよくわからないまま延々戦い続けるのもしんどいけれど、将棋みたいにはっきり結果が出て、それを己の面前に突きつけられて、敗者は自分から負けを認めなくてはいけないというのも相当に残酷だなと思う。
本当に、勝つか負けるかどちらかしかない。勝たなければ、文字通り何回も何回も詰むのである。詰む。よく「詰んだ」「人生詰んだ」みたいに軽々しく使ってしまうけど、怖いことばである。死ぬのだ。盤上で死ぬ。王将という心を殺される。そこから這い上がる。戦う。死ぬ。また這い上がる。その繰り返しで、棋士は引退か肉体が死ぬかしない限りは終わりがない。
必要なのは頭一つ。あと体力と強靭な精神力。
想像するだけでその過酷さに歯の奥がギリギリ鳴りそう。
あ、無理。絶対無理。私も小学生の頃に習ったおかげで将棋も囲碁も一応打てるし、囲碁はだいぶハマっていた時期がある。けど、つくづく遊びの範疇、趣味にしておきたい分野。沼に一歩足を踏み入れたら、沈む前に死ぬ。というか殺される。
主人公は高校生にしてプロの棋士であり、静謐な修羅の世界に生きている。
厳しい勝負の世界に身を置きながらも、彼を取り巻く人々は優しく……そして悲しい。ほのぼのしているけど無性に悲しいんだよ~! あと猫がやたらと出てきてこれがまた可愛いんだよ~! くっ、殺せ!
おのれ、おのれ……と思いながら、今日も私は続きを読んで、きっとまた泣く。
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