第331話 黄金色の雨




 園芸店で花や鉢皿を見ていたら、バラバラと大きな音がしたので外へ出た。

 外は眩しいばかりの晴天なのに、大粒の雨が降っていた。

 晴れているのに雨。本当に何度見ても不思議な光景である。

 光が雨を弾いているのか、雨が光を吸っているのか、黄金色の水滴が地を打つ様にひたすら見惚れてしまう。しみじみ美しいものだなぁ~と思った。

 雲で陰らない分、雨粒の煌めきが柔く、そして優しい。

 そう思う自分のポエム魂も嫌いじゃない。


 ランドセルを背負った男の子が

「狐の嫁入りだ~」

 と嬉しそうに叫びながら走っていくのが見えた。


 ああ、キミもとってもいいね。小さいながらもよくことばを知っている。


 雨はすぐにやんだ。

 春の晴れ雨は、しばしの僥倖なり。


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