第325話 「春の雪」




 何やら、明日は雪が降るらしい。

 春の雪。はるのゆき。字面からしてときめきを隠せない。

 降るといいな。降ると交通網が乱れるし、何かと大変だけど、とても風情のあるものが見れるから。


「春の雪」といえば、三島由紀夫の「春の雪」。

 これも大好きな小説だけど、今日思い出したのは伊東静雄の詩「春の雪」。


 ***


 みささぎにふる はるの雪

 枝きて あかるき木々に

 つもるとも えせぬけはひは


 なく声の けさはきこえず

 まなこ閉ぢ ももゐむ鳥の

 しづかなる はねにかつ消え


 ながめゐし われが想ひに

 下草の しめりもかすか

 春来むと ゆきふるあした


 ***


 うーん、こういう情景が見たいもの。

(ただし、想像するだに寒い……)


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