第258話 「山月記」
何もかもが億劫な時、人と会う用があるのにそれにも行きたくない時、一旦外に出てしまえば憂鬱などどこかへ消し飛び、それなりに有意義な時間を過ごせるとわかっているのにそれでも身体が動かない時、努めて中島敦の「山月記」を思い出すようにしている。
名文中の名文を読み、自分に言い聞かせる。
己の惰性で虎になってはいけないと。
***
時に、残月、光
何故なぜこんな運命になったか判らぬと、先刻は言ったが、しかし、考えように
***
読むたびに思う。
努めて、人と交わらなければならない。
交わらなければ生きたことばが書けない。一人でいてはどんどんと忘れ、失っていってしまう。
人に批評されるのは怖い。
臆病な自尊心を傷つけられるのが怖い。尊大な羞恥心を暴かれるのが怖い。
それでも、人の生きたことばを浴びなくては生きたことばは書けない。
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