第257話 冬の和歌




 冬を詠んだ有名な和歌は幾つもあるけど、私は坂上是則さかのうえこれのり

「朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに 吉野の里に 降れる白雪」

 が特に好きである。


「静かに夜が明ける頃、外を眺めてみると、まるで有明の月が照らしているかのように、吉野の里に白い雪が降り積もっている」という意味。

 美しい。夜明けの雪明かりに照らされた吉野の情景は想像するだにうっとりする。


 坂上是則本人は生没年も不詳の人物なのに、歌だけはばっちり残っていて、やはり後世に残る名歌はけして滅びないのだなあと思う。

 私もその時代の貴族に生まれたなら、それこそ必死に歌を詠んだと思うけど、たぶん日々「ワイには歌の才がないいいいいガアアアアアアア……!」と転げ回ってるんだろうな。今と同じように。

  

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