第245話 寒さと雨がありがたい




 しとしとと雨が降っていてありがたい。

 寒いので外に行く気がしなくてありがたい。

 これが晴れていて暖かかったら、気もそぞろに、用もなく外に出ていただろう。

 散歩をし、特に今必要でもない買い物をし、カフェでお茶などして、人にでも会えばそれなりに疲れて帰ってくる。

 寒さと雨がありがたい。この静けさがありがたい。

 もし雪になれば、音を吸ってくれるだろうからありがたい。


 外に出られないおかげで、自分を一ヶ所に縛りつけられるおかげで、思う存分書くことができる。

 こういう日は、普段は疎ましい雨も風もありがたい。

 私を創作の世界へ導いてくれるからありがたい。

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