第239話 個性的な二次創作を書く人に、オリジナルも読みたいと言っていいのか迷う




 私は紙媒体が好きなので、二次創作の作品も本(同人誌)で読むことが多いのだが、時折二次創作以上に一次創作(オリジナル)を読んでみたいと思う人(作品)に出会うことがある。

 確かに、それらは二次創作である以上、既存の作品のキャラ、設定を使っており、一見して違和感はない。

 だが、よくよく読むと原作をリスペクトしつつも原作とは違う独自の世界観を構築しており、設定を逸脱しないまでも隙間を縫うような斬新な発想と解釈があり、セリフにもグッとくるものがあり、漫画であるならカラーの色使い、キャラの目力、構図とか背景のかきこみ具合であるとか、装丁のデザインに至るまでがとにかくハイセンスで私好みなのである。


 これはすごい、ぜひオリジナルも見てみたい……と思うのだが、それを果たして本人に伝えていいのかいつも迷う。

 何故かというと、二次創作をしている勢というのは、一次創作には興味がない人も沢山いるし、そもそも同人は趣味として楽しくやっていたいという人もいるし、そもそも「オリジナルを読んでみたい」というのが褒め言葉なのかも微妙だからである。

 実際、二次勢で「オリジナルも書いてください~」と言われて喜ぶ人はどれほどいるのだろう。

 私は言われたら嬉しいけど、オリジナルを描く気がない人からすれば、そんなこと言われてもなぁ……と困ってしまうかも。

 というわけで「変なプレッシャーを与えてしまうのもな~」と躊躇して、結局言わないことにしている。


 たまにそのハイセンスな作家さんが「オリジナルも始めました」と言い出すと、とても嬉しく、ついついオリジナルも追ってしまう。

 そうやって追っていた人は大体が編集者の目にとまって商業デビューし、現在も活躍している人が多い。

 私は何も言わなかったただのモブだけど、心の中で「あ~やっぱりね……。私、見る目あったわ~」と一人でこっそりほくそ笑んでいる。


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