第221話 勝手に温められた名作SF
先日、友人と話していてたまたまSFの話になった。
お薦めは何? と聞かれたので私はしばし逡巡し、割と自信たっぷりにこう答えた。
「『華氏461度』が好きかな」と。
友人はへ~と言いながら、早速買おうと思ったのかその場でアマゾンで検索した。
ところが、検索ボタンを押しても該当する本が出てこないという。
おかしいな……と思ったが、「華氏461度」は名作とはいえ今や古典SFというべき作品である。
さほど流通していない可能性もあるし、出版社にも在庫がないのかもしれない。
その時は二人とも気にせず、すぐに別の話題に移ってしまった。
のだが……家に帰ってから気づいた。
あれ、ちょっと待てよ……。461度って言ったけど、本当に461度だっけ?
もしかして間違えたかもと思い、自分でもネットで検索してみたが確かに「華氏461度」では出てこない。
作者のレイ・ブラッドベリの名前で再度検索し、著作リストを見て気づいた。
うわあ、華氏461度じゃねええええ――っ! 451度だった!
全くどうして勝手に10度も上げたんだか……。
今となっては何の根拠と自信があって461度と言いきったのかわからない。
思い込みとは恐ろしいものである。
この華氏451度というのは紙が自然発火する温度で、「本が燃やされる時代」であるこの物語における重要な数字なのに……。
まあ、今は真冬だしね。寒いしね……。無意識のうちに暖房の温度も上げちゃうしね。
すみません、華氏451度です。
もう間違えないぞ!
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