第160話 チケット転売サイトについて




 前回と少し話がつながっているが、私は高額転売されているチケットには手を出さないものの、チケット転売サイトそのものについては全く悪いものとは思っていない。

 むしろ、チケットが完売した後では、その存在は大変ありがたい。


 ネットでは悪名をはせるチケットキャンプも、買う側で利用することがある。

 先日買った舞台のチケットは千秋楽で定価以下だった上に、送料も出品者持ちだった。

 後方席だろうなと思っていたが、届いたチケットを見たらかなりの前方席だった。

 これはよい買い物をしたと思っている。


 転売サイトを庇うつもりはないが、転売サイトで売られているチケット全てが、定価の何倍もの価格で売られているわけではないし、明らかに利益を求めて出品する人ばかりでもない。

 仕事、事故、病気、冠婚葬祭等で行けなくなってしまった。演者のモチベーションに関わるから、とにかく席に穴を開けたくない。もしくは、同じ日に重複して取れてしまった。けれど、周囲に代わりに行ってくれる人がいなくて出品する人もいる。


 悪いのは提供される箱(ツール)ではない。

 売る側も買う側も自分のモラルにのっとって、適宜利用すればいいだけのこと。

 高額転売が嫌なら自分が関わらなければよいし、友人知人が利用していて許せないと思うのならその人と距離をおけばいい。


 行きたい、観たい、会いたいと思う気持ちは皆同じ。

 諦めるのか、札束で殴るのか、欲求にどう折り合いをつけるのかは各人の自由であり、他人がとやかく言うことではないと思う。


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