第150話 同担拒否



 オタク界隈で「同担拒否」という単語を聞くようになり、一体なんだろうと不思議に思っていた。

 字面からして「同じ担当を拒否」という意味なのだろうが、何故拒否するのかがわからなかった。


 先日、原宿の千疋屋でフルーツを食べながら、三度の飯より若手俳優の追っかけが好きな友人に聞いてみた。

 友人は簡潔に説明してくれた。


 いわく同担拒否とは、

「自分以外に、同じキャラや芸能人を好きな人が許せない人たち。夢女子(キャラクターやアイドル、俳優、アーティストに自分、もしくは自己投影できる設定なしのキャラを重ね合わせ疑似恋愛を楽しむ女性のこと)に多い。過激派になると、他人のカバンについている推しキャラのグッズすら許せず引き千切ったり、奪ったりする」

 とのことだった。


 私は内心、「へえ~そんな人たちもいるのか」と思った。

 自分以外に推しを愛されるのが嫌というのは、やはり独占欲の表れなのだろうか。

 彼氏や旦那ならわかるけど、二次元のキャラクターや芸能人までもが範疇なのは意外だった。

 というか、人のグッズを引き千切る云々は普通に犯罪なのでは……。


 こういう嫉妬深さは女性特有なのだろうかと思い、更に尋ねてみた。

「男性のオタクの間でも同担拒否ってあるの?」

「あると思うけど、もっと単純に札束の殴り合いだと思う。より多く貢いだ人が偉いっていうか。女の方が色々陰湿だよ」

 とのことだった。

 ますます、へええええ~である。



 自分としては、何にしても同担は大歓迎である。

 おそらく余程の理由がない限り、拒否することはない。

 美貌やスタイル、一芸など、二次元にしろ三次元にしろ全ては人気商売。

 言い方は悪いが、一人でも二人でもお金を落としてくれる人、金ヅルが多いに越したことはない。

 売れれば公式が儲かり、更なる利益を求めるので当人やコンテンツの寿命が伸びる。

 すると、またみんなで楽しめるので。


 同じ趣味、同じ推しの友だちを欲しがる人がいる一方で、自分だけが愛していればいいと孤高を貫く人もいるのだね。

 また一つ勉強になった。(と言いつつ、けっこうどうでもいいかも……)



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