第131話 考えることが一番疲れるのかも




 友人と幸せについて話していて、いつものように「寝ている時が一番幸せ」と言ったら、「考えなくてすむから?」と返された。

 さりげない言葉ながら、核心を突かれたようでハッとした。


 確かに起きている時は、四六時中何かを考えて生きている。

 私だけではなく、皆そうだろう。

 それは仕事のことだったり、自分の将来に関することだったり、昼ごはんのことだったり、家族の悩みだったり、妄想だったり……と重要なことから、どうでもいいことまで様々だが、おそらく意識がある限り思考からは逃れられない。

 仕事も遊びも運動も何をしても疲れるが、一番疲れるのは思考そのものなのかもしれない。

 その重い枷から逃れられるのが、唯一寝ている時なのだと。

 だからこよなく睡眠を愛しているのかもしれない。


 でも、考えなくなったら、人間として終わりだ。

 死んでるのと同じ、死に体になりたくないなら、起きてる間は必死に人間でいないと。

 たとえば、今、こんな風に有り体の文章を考えながら。


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