第98話 面倒くさい人
面倒くさい人。質問に対して、質問で返す人。
「りんごとみかん、どっちが好き?」と聞いたら「みかんといちご、どっちが好き?」と返してくるような人。
聞いているのはこちらなのだから、まずは質問に答えて欲しい。
「私はりんご。あなたはどっち?」と答えたあとで返されるのは一向に構わない。
質問に質問のやり取りが続くと、どちらが何を聞いたのかわからなくなってくるし、こちらもどんな変化球が来るのかと身構えてしまって会話を楽しめない。
本人は会話術の一つと思っているのかもしれないが、私は警戒してしまう。
一番苦手なのは、(誰しも一度は遭遇したことがあると思うが)、こちらが「いくつ(何歳)ですか?」と聞いて「いくつに見える?」と返されること。これが実に面倒くさい。
別にこちらは好奇心から年齢を知りたいわけではない。外見でおおよその年代はわかるし、親しくなるまでは未成年、20代、30代、40代くらいでいい。
はっきりとした歳を聞くときは、年齢の情報が必要だから聞くのである。
そして、こういうことを聞いてくる人の多くは自分が若く見えることを期待しているので、こちらも考えて外見から推測される年齢から-10したくらいの年齢を言う。これがまた気を使わねばならず面倒くさい。
相手は実年齢より一回り若い歳を言われて、「そんなことないのよ」と喜ぶけど、私も内心「うん、わかってるよ」と思っている。……けど、口には出せないので曖昧に笑ってみたり。
最初からズバッと数字を言ってくれたら楽なのになあ……と思ってしまう。
短気なのかもしれない。狭量なのかもしれない。そんな自分も面倒くさい。
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