第71話 WEB小説は長時間読めない



 紙の本は面白ければ何時間でも読んでいられるけど、ネット上にあるWEB小説は長時間読むことができない。

 すぐに疲れて話の内容が入ってこなくなるし、目がチカチカしてどうにも辛いので大体1時間くらいが限度である。

 長編は無理なので、日を分けるか10000字以下の短編ばかりを読むことになる。

 長ければ長い程、紙の本になったらいいのになぁ……と思う。


 これは別に作者の文章力や構成力の問題ではなく、話の面白いつまらないでもなく、青空文庫で文豪の名作を読んでいても同じである。

 紙だとそうではないのに、電子だとなかなか話の理解や把握ができない不思議。

 自分の書いたものでもやはり長編は辛くて、1時間くらいが限度。

 といっても推敲のために読んでいるので、すぐに切り上げるわけにはいかず限界まで頑張るが、紙に出力して読んで直した方がよほどはかどる。


 よくWEB小説では状況や人物の深い描写をしないほうが読んでもらえるというけれど、これは一理あると思っている。

 自分もWEB上ならば、小説よりも人物紹介+台詞とト書きのみの脚本(シナリオ)形式の方がスイスイ読めるような気がする。そちらの方が遥かに読みやすい。

 ただ、脚本は映像なり演者なり、イラスト、ゲーム、漫画、音楽等の作者でない人間が新たな創作や表現をすることを前提に書かれている。作者のみで完結するものではないので、脚本だけ読んでも想像ができず、視覚的にも聴覚的にもわかりにくい。

 いくら面白く人気の高いWEBシナリオでも、書籍化された際に相当加筆されなければ読まないだろう。


 世界観の設定や深い描写をしたいが、それを書くと読んでもらえない。

 最低限の説明と台詞だけなら読みやすいので読んでもらえるが、話はスッカスカ。

 だったら一体どうすればいいのか……?

 ここにWEB小説を書く物書きの葛藤が凝縮されている気がする。


 私のようにWEB小説を読むのに時間がかかる人間は全体から見れば少数派だろうが、人気作はできるだけ紙の本になってくれるとありがたい。

 何にしてもお金のかかることなので、なかなか強くは言えないが……。

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