第16話 なぜ物語は「ものがたり」であって、「ひとがたり」ではないのだろう




 子供の頃、不思議だった。

 なぜ物語は「ものがたり」であって、「ひとがたり」ではないのだろう。

 物語とは、人が、人の世界で、人について語るものではないのか。

 例え、主人公が動物や植物やあやかしといった人外であっても、あくまで人の視点で、人に伝えるために語る以上はひとがたりではないのか。


「物」という言葉が事象そのものを指すと知っても、なかなか腑に落ちなかった。

 どう足掻いても人の視点でしか物事を見れなかったし、無害に傲慢だった。

 今でも人の視点でしか物事を見れないけれど、取りとめのないことをつらつら考えていられる時間を失ってしまった。


 それが、なんとなくさみしい。


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