【完全大勝利確定】オルリスタットを、俺は飲む!

 https://www.yomiuri.co.jp/medical/20221128-OYT1T50173/


 "大正製薬が販売する抗肥満薬「アライ(一般名・オルリスタット)」"

 "日本人を対象にした臨床試験で、内臓脂肪や腹囲の減少効果が確認された市販薬"

 "脂肪の吸収を抑制する薬"


 だそうです。脂肪の吸収を……? 脂質じゃなくてか?


 "服薬を始める1か月前から腹囲や体重などを記録し、薬剤師のチェックを受ける。6か月服用しても効果がなければ使用をやめる。"


 ということで、半年以内に勝負が決まる。早ければ3月にも承認されるということなので、まあ体重は毎日タニタに乗ってるんでいいとして、腹囲を一応記録しておかなきゃな。もちろんここに書いとけば「記録」にはなるが、そうするとこの日記を30日分見せることになって、与太話部分が迷惑だろうと思うので、普通に物理紙に記録しておこうと思います。やるぞやるぞ~。


 オルリスタット関係の文献は結構あるようなんですが、僕は権威主義なのでLANCETを読みます。2021年のLANCETのインパクトファクター、202だったので笑ってしまった。インパクトファクターというのは、雑誌の「戦闘力」みたいなものですね。大体一桁で、二桁の雑誌でもヤムチャくらいの強さはある。Natureってめっちゃ有名雑誌だが、それでインパクトファクター69なので、異常な値。スカウターだったら爆発している。あまりに気になったのでクラリベイト(インパクトファクター発行元。スカウターだと思ってください)見てきたら謎は大体解けました。


 LANCETで去年引用された論文トップ10は、次のものです。

1位:Clinical features of patients infected with 2019 novel coronavirus in Wuhan, China-6478件引用

2位:Clinical course and risk factors for mortality of adult inpatients with COVID-19 in Wuhan, China: a retrospective cohort study-5878件引用

3位:Epidemiological and clinical characteristics of 99 cases of 2019 novel coronavirus pneumonia in Wuhan, China: a descriptive study—3780件引用

4位:The psychological impact of quarantine and how to reduce it: rapid review of the evidence-2858件引用

(quarantine =「コロナ禍で引きこもってるよ」みたいな意味の言葉だと、矢作とアイクの英会話チャンネルで言ってたので、これもコロナ論文です)

5位:Genomic characterisation and epidemiology of 2019 novel coronavirus: implications for virus origins and receptor binding-2440件引用


 そういうことですね。コロナバブルです。バブルって言い方はどうかと思うが。ただ面白いのは、この後、

6位:A familial cluster of pneumonia associated with the 2019 novel coronavirus indicating person-to-person transmission: a study of a family cluster-1706件引用

 はコロナなんだけど、

7位:Food in the Anthropocene: the EAT-Lancet Commission on healthy diets from sustainable food systems-1019

 が突然入ってるところ。


 Anthropoceneってなんやねんと思ったら、「人新世」(「白亜紀」みたいな感じで歴史区分として提案されてるもの)だって。知らんがな。人新世における食:持続可能な食システムからの健康的な食事のためのthe EAT-Lancet委員会。俺たちの食はEAT-Lancet委員会に支配されているッ!!


 何の話でしたっけ。オルリスタットの話だね。Sjöström et al. (1998). Randomised placebo-controlled trial of orlistat for weight loss and prevention of weight regain in obese patients, Lancet, 352(9123), pp.163-172. という短い論文がある(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0140673697115094 )。これ読みます。ところで、これ見つけるまで何個か論文を眺めたのだが、そろいもそろって「近年肥満は激増している」から始まるので、なんというか……。世界……って思った。


 ま、とにかくクソデブが増えててますと。薬での治療も検討されてます。

 Given the central role of dietary fat in obesity, a logical way to achieve and maintain weight loss is to decrease the amount of fat available to be metabolised.

 とあるが、dietary fat食事の脂肪って、多分いわゆるPFC(プロテインたんぱく質、脂質、カーボ(ハイドロゲン)炭水化物)のfatだよねえ? なんか、「脂肪の吸収を抑制」っていうとちょっとキモくない? 俺だけ? まあ、とりあえず脂質って訳しますね。


 Orlistat promotes weight loss by inhibiting gastrointestinal lipases, thus lowering absorption of dietary fat, on average by 30% with a dose of 120 mg three times a day.


 オルリスタットは消化管リパーゼを抑制する、つまり脂質の吸収を平均30パーセント低下させることによって、体重減を助ける。1日3回、1回120 mg摂取で。


 リパーゼか~~~。俺リパーゼねえらしいんだよな。効くかなあ。(参考:リパーゼ幻想 https://kakuyomu.jp/works/1177354054881038781/episodes/1177354054881123410 )(この記事の最後に、「セチリスタット」というこのオルリスタットのパクりみたいな薬が薬事承認されたみたいな記事へのリンクがありました)(何年同じこと言ってるんだ?)


 まあちょっと話を戻して、具体的には何したかって言うと、ヨーロッパで、二重盲検(医者側も患者側も、どっちが本物の薬飲んでるか知らないよっていう方法のこと。「本物だ!」と思って飲むと患者に効きが良くなるほか、医者もなんか「本物かあ」の方を甘く採点したりしがちになるので、両方に分からないようにする)で18歳以上のBMI28-45のやつを捕まえてきてやった。ただし高血圧は除外。高血圧な~。ギリギリなんだよな。今アウトかも。少し痩せといた方がいいのかな(本末転倒ちゃん)。


 4週間事前テスト(プラセボを1日三回飲む。飲んだ後のカプセルを75%以上返却してくれた人だけ参加)して、この期間に体重が増減した人を適当に割り付けて二群を作る。そんで52週間(つまり1年)オルリスタットまたはプラセボを飲み続ける。で、30-600 kcal


 ちょちょちょちょちょ、ちょっと待った~~~~~~~~~ッ!!

 それはズルくない?? いやまあ、「それでもなお、オルリスタット群が痩せた」ということになるんだろうが、ええ~? BMI45のやつ連れて来たんだよね? で、基礎代謝-600 kcalの飯を? 1年?? いやいやいやいやいやいや。それで我慢できる奴がBMI45になりますかって。なあ。

 でもしたらしい。しかも、体重減少に伴うエネルギー消費量の減少を補うため、24週目終了時に規定エネルギー摂取量をさらに約300kcal/日減少させてる。


 ちょいちょいちょいちょいちょ~~~~~~~~~い。ってなる。なるよ、それは。いやだって俺の基礎代謝が2000 kcalとかでしょ? で、600 kcal引いたら1,400 kcal。ココイチでチキン三昧カレー食ったら終わりです! そっからさらに300 kcal惹かれたら1,100 kcalで、いや白米3杯食べたら超えてしまいま~~~~~~~す。無理でーす。解散。


 2年目は体重維持食(基礎代謝と同じくらい?)の飯を食わせて、もう低カロリー食は食うなと言ったらしいが、今更低カロリー食を食うなといわれてももう遅い。もう痩せてます。とっくに。1年低カロリー食で過ごすの凄すぎるだろ。全員鎖で繋いで監禁してるんか?


 離脱者も想定して、参加者は600人集めようと思った。結局937人(!)集めて、諸々脱落して、結局519人が残り、そのうちデータが完全に揃ったのは435人くらいという感じ。まあでも2年飯も制限されて毎日薬飲む研究で、脱落率50 %ちょっとってスゴイのかもしれない。イギリス人は偉い。真面目だ。


結果。1年目(低カロリー食期)オルリスタット群は10.3 kg, プラセボ群は6.2 kg痩せた。そらそうだろ。そして十分では? 


 2年目(体重維持食期)の結果はちょっと面白くて、ここでオルリスタット群の半数をプラセボに、プラセボ群の半数をオルリスタットに切り替えてるんだけど、プラセボ群とオルリスタット群は「減った体重を維持」(偉すぎる)。これはまあでもそんなもんかなと思うが、プラセボ→オルリスタット群は、「さらに体重が減る」。オルリスタット群→プラセボ群は、ずっとプラセボ群よりは低体重なものの、「ちょっと体重が増える」。な~るほど。まあ、これは効きそうな感じしますなあ。オルリスタットちゃんよお。


 その他の結果で言うと、やっぱコレステロール値は減るらしい。中性脂肪(triglyceride)もオルリスタット群で減ってるっぽい!!


 有害事象は、記事中にもあるが、脂肪/油便。怖すぎるのが、Faecal incontinence。くらえ! フィーカル・インコンティニュエンスッ!! と必殺技になりそうな感じだが、まあ、便失禁だそうですね。プラセボ群では0人だが、オルリスタット群では7 %。24人。これをどう捉えるかという問題はある。あとまあ、消化器管の癌も発生はしているらしいです。1例。うーん。まあ、900人もいりゃあ1人くらいは癌にもなるか……。


 あと書いといた方が良いことは、脂溶性ビタミンの吸収が低下する可能性があることですかねえ。ビタミンD、Eおよびβ-カロテンの絶対濃度はオルリスタット投与中に低下するようです。ニンジンを食おう。


 結論。低カロリー食を食おう。そんでオルリスタットを飲もう。まあそりゃそうか~~って感じですけどね。それが出来たらだよなあ~。まあ、「せっかくオルリスタット飲んでるしな」という気持ちで低カロリー食を誘導できたらいいナアとは思うんですが、どっちかっつうと低カロリー食の方を支給して欲しい。じゃあ、ナッシュ(NASHって書いてしまったが、正しいスペルはnoshらしい)食うのが一番正解なのかもしれないですね。一番いいのはナッシュ食いながらオルリスタット飲むのか。支配されている……暗黒組織"EAT-LANCET Commission"に……(「暗黒」には深い意味はありません。「ぬばたまの」みたいな。日本では古来から組織の前につく枕詞です)(そもそも多分EAT-Lancet委員会は、ナッシュにもオルリスタットにも無関係です)(もっとそもそものことを言うと、多分EAT-LANCT委員会は何かを「支配」しようとする団体ではないと思います。詳しく知らずに書いています)(そんなにビビるならこんなボケしなきゃいいのにね)。


 2022年11月30日 08時42分の測定結果

 体重:105.20kg 体脂肪率:34.50% 筋肉量:65.35kg 体内年齢:51歳


 ま、そんなわけで、明日から腹囲も記録して行こうと思います。それではまた。

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