好きで興味があるのに押しが強くて要らなくなった

 あんまこういうので実名出すのもどうかと思うんだが、まず、『カルディスペシャルブレンド』が今一つ好みには合わなかった。これはまあ、単に俺が酸味が嫌いなおこちゃま味覚であることに由来すると思うんで、別にカルディを貶しているわけではない。カルディのイタリアンローストとか、苦さ3000 %って感じで、がぶがぶ飲むってわけにはいかんがたまに飲んだり、牛乳と混ぜたりするとちょうどいい感じになるんで、好きですよ。それで、ずいぶん長い間この『カルディスペシャルブレンド』と向き合ってきたんだが、ようやく底が見えてきた。良かった良かった。


 という状況で、ESTAの地下、前までずんだ茶寮とかあったところかな? あそこに、コーヒー屋が出来てた。今月の頭くらいに出来たらしい。で、ちょっとお洒落な雰囲気で、最近出来てて、しかも期間限定である(5月くらいまでしかやらないらしい)。こんなん寄ってみるしかないでしょって感じで、結構意気揚々と近づいたんだけど、なんか、店員さんが二人で、店のパンフレットみたいなのを猛然と配ってて、しかも、興味を持って手に取ったご婦人にすごい情熱的にプレゼンをしている。それを見たらなんかこう……これにかかわる精神力、今ないな……みたいな感じになって、スッとその場を離れてしまった。で、東豊線に向かう道の途中にあるコーヒー屋で、適当な粉を買って帰ってきた。俺はどうやら「神戸ブレンド」ってのが好きなんだが、二回目か三回目かの疑問だけど、「日本国内の地名+ブレンド」ってなんなんだよって思うよな。まあそれを言い出すと、フレンチロースト(深煎り)とかイタリアンロースト(もっと深煎り)とかアメリカンコーヒー(薄い)とかも意味わからんちゃ意味わからんけど。コーヒー好きな人って国や地名によって味の好みが決定すると思ってんのかな? そらある程度はするだろうけど、神戸出身のやつが「これ」って言うコーヒーの味があるわけねえだろ。まあだからその、原義はともかく、分類として煎りの深さに名前つけるのは百歩譲ってわかるよ。別に「深煎り」「超深煎り」でええやろがいと思うが、まあ、それくらいは許す。「神戸」はさあ。名前から得られる手がかりゼロすぎないかって思うんだよね。


 話が逸れたが、とにかく、だから、俺はそんな通とかではないが、それなりにコーヒーは好きではある。ほいで、興味関心もある。更に言えば、「今まさに次の豆が欲しい」という需要も強く、それでいて店自体にも間違いなくヒキがあった。


「でもなんかいいや……」ってなるってさあ。俺がマーケターだったら気絶しちゃうよ。どうすりゃええねんなって思うよな。別にそのだからなんていうか、押し売り……とは違うよね。熱意ある接客。っていうのを否定しようというつもりはないんです。俺のような繊細な人間のことも考えてくれみたいなことを主張したいわけでもない(一応言っておくと、「繊細な人間のことも考えてくれ」という主張をするなと言いたいわけでもないですからね。それはそれでしましょう。俺は繊細ではないのでそうは主張しないだけです)。店員も頑張ってると思うし、店の方針としてもそれが間違ってるわけではないでしょう。それはすげえそう思う。でもなんか、静かに「いらっしゃいませ~」みたいな雰囲気だったらたぶんあそこでコーヒー買って帰ったと思うのに、熱意があったが故に違う店を選んでしまうっていう、人間の不合理さですよね。これを強く感じたということです。


 まあ、熱意政策をとって獲得できる顧客数が、失われる顧客数より多ければもちろん全然不合理じゃあないというか、合理的なんだと思うんで、いいんですけど、こう、遠ざかっていく自分が自分で良く分からんなあと思ったという話でした。


 それで突然19年前のことを思い出したわけですが、当時俺は怠惰な学生で、実家が微妙に遠いという理由で、大学の近くの友人の家に着替えを持ち込んで寝泊りしていたんですね。で、土曜日なんかそら昼まで寝るじゃあないですか。ところがある土曜日、突然友人が早朝(9時くらいのことを早朝と呼んでいます)に起きだして、出かけるっつうんですよ。なんで? って聞くと、なんかこう、サークル的なものがあると。そんなんやってんの? って聞くと、いや別にやってないけど、〇〇に誘われて、と言う。フーン。まあ、起きちゃったし俺も行こうかな。くらいでその会に行ったんですね。で、のそのそとたどり着いて、まあほぼ丸一日そのサークル活動をして。いやーまあ面白かったっちゃ面白かったね。じゃ、今日は何飲みますか、みたいな話をしてたら、そのサークルに参加してたある人が、すげえ噴きあがってる。何に? というと、「こんな素晴らしいサークルはほかにないよッ!!」と力説しているんですよ。そんで俺も若かったんで、「この人がこんなに言うんだったらそうなのかもなあ」と思って定期的に通うようになり、爾来なんと19年この活動を続けているのであった。もう、この友人も、噴きあがってた女史も、〇〇も、全員離れているのにいまだに一人で細々とやってる。だからそのー、この時は「熱意」が勝ったわけですよね。なんならその時チラッと通ってたジャズ研究会辞めてるもんな。ただまあ、このジャズ研究会というのは、大真面目にジャズを追及している人たち以外は、もう人間模様のサラダボウル……いや、るつぼって感じで、ちょっとその濃厚さに引いてたところはあるけど。


 これはまあだからそのー、「身内が」熱意をもってたから、という違いはあるかもしれないけど、なんかね。不思議だなあ人間存在、みたいに思ったというか。まあ、俺の信念としては、人間というのは無限のパタンがある、というのはこれ事実だと思うんですが、それは別に無限遠の直線が引かれているということを意味するわけではなく、範囲が規定されているが無限分割可能な軸が多数存在する程度のことなんじゃあないかと思うわけです。だから、寄って見るとこれは確かに重複する2点というのは確率的にはほぼ0に等しいわけだが、引いてみるとある範囲に存在する集団というは規定できるわけですね。で、この「範囲」レベルでの処理は可能であって、そこに有効な施策を打てさえすればそれでいい。それはそうなんだと思う。で、俺がたまたまこの「範囲」から離れただけに過ぎず、お前お呼びじゃあないよってことなんだけど、いや俺側にはこんなにも需要があるのに!? って思ったんだよね。それが面白かったんですが、大丈夫ですか? 少しは面白いですか?


 まああと俺の感覚・感性として、「良かれと思って」「良くないことが起こる」に趣深さを感じるんですよ。「良かれと思ってやったのにこんなにうまくいかなかった」ということが、時にはめちゃんこ悲しくなるし、時にはすっげえ面白いと思うという性格をしているのだが(もしかしてあまり良くない性格ですか? 特に後半)、それにハマったということです。なんか全然ダイエットじゃない話で長くなってしまってすいません。


 2022年03月19日 12時22分の測定結果

 体重:100.50kg 体脂肪率:32.70% 筋肉量:64.15kg 体内年齢:49歳


 

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