「CLUB JTのジレンマ」
正直村の住人は全てのことに正直に答えるが、それは「答える」場合に限るのであって、だから余計なことを聞かなければいい。例えば、あなたが「好きです、付き合ってください」とか愛の告白を正直村の住人にしたとして、「ごめんなさい、できません」と"正直に"答えてもらったとする。これに"嘘"はないわけだから、諦めて引き下がれば良いという話。ところがここで、「どうしてですか! 理由を教えてください!!」なんて引き下がるから問題が発生する。
「それを言うと、あなたが傷つくかもしれないから、言いたくないな」
「そこをなんとか。どうしても知りたいんです。教えてください」
「単純に顔の造形がだめ。生理的に受け付けない。あと話し方が頭悪そう。頭が良ければ良いというものでもないけど、話が通じないのも頭の悪そうな戯言を聞かなくてはならないのも本当に嫌。仕事のスタイルも合わない。毎日コツコツ着実に進めて行く人だったら尊敬できるけど、直前になって慌ただしくしているのを見ると、イライラしちゃう。あと体型も」
グサーッ! (誰が誰に何を刺したオノマトペかは秘す)
ね。聞かなきゃ良かったんだよ。同じことがCLUB JTにも言えるわけ。
どういうことかを説明しよう。先週と今週は結構忙しく働いていたので、メールは重要っぽいタイトルのものだけ返信なり処理なりして、あとのはなんにも弄らず放置してきた。そしたら、メールマガジン的な奴を含めてこの一週間で100を超えるメールがメールボックスに溜まっていた。あとLINEの未読もアホほど溜まってる。で、LINEはまあ話が早くて、使わないやつはブロックしてトークルーム消してやればそれで良い。ところがメールの場合、なんかのキャンペーンとかでメールアドレスが登録されている。最低限一回サイトにアクセスして、メールアドレスを入力するとか、場合によっちゃあサイトにアクセスして、ログインして、然る後サイトから退会、またはメール配信の停止処理をしなくてはならない。結構だるー。
しかしまあ、よくよく考えてみると、このメールマガジン的なもの、大半は目を通しもせずに捨ててるが、でも「見る・メールマガジンだと思う・削除」という処理をしているから、すこーしずつリソースは使っている。これが週に100件とか来ていることになる。略してちりつもやまとなでこ、こういうことで精神的なエネルギーが枯渇していくのかもしれない。ってなわけで、まあ、昨日の午後はわりと元気だったこともあって、こういうメールマガジンを粛々と解除する時間にした。本当にこれが第一にすべき選択だったかどうかについては、将来の評価を待つとして。
それでCLUB JTにログインしようとしたとき、事件は起こった。皆さんもCLUB JTにアクセスしてみればわかるが、アクセスすると次のことを宣誓させられる。
「私は満20歳以上の喫煙者であることを確認します」。
まあ満20歳以上ではある。それはそう。喫煙者でいいのか?
WHOによれば、「如何なる人間集団も喫煙者( smokers)と非喫煙者(non-smokers)に区別することができる。」とある。で、喫煙者の定義は、「『調査時点において,』 いかなる形状であれ、たばこ製造物を, 毎日, または時々喫煙する者である。」となっている。この定義に従えば、CLUB JTに「登録」した時は、俺は確かに喫煙者であった。だからCLUB JTのwebサイトにアクセスする権利を持っていた。ところが、現在においては、いかなる形状のたばこ製造物も喫煙してないんだわ。
で、非喫煙者の定義を見ると、こうある。「調査時点において, 全く喫煙をしていない者である。 非喫煙者は3 つのカテゴリーに分類される。前喫煙者(ex-smokers)は以前は毎日喫煙者であったが現在は全く喫煙していない人々である。」
じゃあ俺今非喫煙者じゃん。となると、CLUB JTのwebサイトにログインする権利を持たないことになる。なんとなれば、CLUB JTのwebサイトは、
「私は満20歳以上の喫煙者であることを確認します」に「はい」と答えた人間しかログインができないからだ。「いいえ」と答えると無限にこの確認ゾーンとの行き来をさせられる。
つまり、かつて喫煙者であった時代にCLUB JTにログインし(この時は「私は満20歳以上の喫煙者である」ことが「確認」できた。当然のことながら)、メールアドレスを登録した後に非喫煙者になった人間は、理論上CLUB JTにログインできない!!
これをCLUB JTのジレンマと言う。
しかしこれ、結構根深いジレンマだと思いませんか。「正直者が馬鹿を見る」の典型例というか。まず、たばこというのは完全に合法なものであるから、別に正直者が吸ったっていい(別に正直な違法者がいないとも限らないので「合法なものである」という前提はいらなかったね)。ところがその後、たばこを「やめよう」と決意する。さて問題です。この瞬間、この正直者は喫煙者か? 非喫煙者か?
残念ながら非喫煙者の定義は、「調査時点において, 全く喫煙をしていない者である。 非喫煙者は3 つのカテゴリーに分類される。前喫煙者(ex-smokers)は以前は毎日喫煙者であったが現在は全く喫煙していない人々である。」となっているので、「やめよう」と思った瞬間からこの人間は非喫煙者に分類されてしまうのである。特に、正直者であれば、この宣言は破られることがないから、なおさら。そうすると、その瞬間からCLUB JTにアクセスすることが出来なくなり、メールマガジンの解約も不可能になる。
だからこうするしかない、あるいはなかったんですね。「私は、明日6月17日からたばこをやめる。今日は吸う、あるいは既に吸った」と決意する。そして、「明日」が来る前に身辺整理、つまりCLUB JTの退会をする。それに失敗した人間が、CLUB JTから退会することは不可能なのである。
いや分かってますよ。一つだけ方法がある。そう、それは再び喫煙者になること。一本でも吸えば「現在喫煙者」なので、その瞬間にCLUB JTにアクセスし、退会をする。残された手段はそれしかない。この一つだけ。そうですよね。
しょうがないから、久しぶりにラッキーストライクでも吸おうかなと思います。それではまた。
体重:99.85 kg, 体脂肪率:30.7 %, 筋肉量:65.65 kg, 体内年齢: 46歳
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