人間はなぜ「酢胡椒かけ婆/爺」になってしまうのか
伊集院光深夜の馬鹿力を聞きながら仕事というか仕事の下準備みたいなことをしていたところ、現代の妖怪カルタみたいなコーナーで、「餃子を食ってたら酢に大量の胡椒をぶちこんだタレを強烈に勧めてくる、『酢胡椒かけ婆』」が採用されていた。これ自体は砂かけ婆のダジャレ……というか、とにかく砂かけ婆を基にしたギャグなのだが、結構衝撃を受けまして。
というのは、ここ最近俺は確実に酢胡椒かけ爺なんですよ。他人に無理強いした記憶はない……が、話したのは確実。最近酢胡椒がうまい。もともと、「すっぱくなくても成立するものがすっぱい」というのがちょっと苦手な性質で、グレープフルーツとか梅干しは全然好きなんだけど、カレーやコーヒー(特にカレー)がすっぱいのは、自分から飲み食いしにいくことがない。だから、餃子になにつけて食うかというと、一つはカレー(突然すべてをぶち壊しにいくな)(みよしのという俺が愛してやまない北海道ローカルの餃子チェーン店があって、この餃子チェーン店にはカレーセットがあって、この場合カレーの具として餃子を載せて食うことになる)。で、もう一つは、餃子のタレに、ちょっとだけラー油垂らして食う。すなわち、ここにすら酢を入れないほどに、酸味とは縁遠い人生を送ってきたのである。
ところがなんかで酢胡椒がうまいというのを聞いて、ほんとかよ~、まあ俺はそもそも酸味あんま得意じゃないしネ……とか思いながら、一切れだけつけてみたら、これがうめえ。これだ!! って感じになって最近はもっぱら酢胡椒。または、ラー油酢胡椒。とにかく「タレ」から離れることになったわけ。
そんで、はるか昔に、ヤンマガで「チェリーナイツ」って漫画連載してたの知ってます? 高齢童貞のリーゼント男が主人公のやつ。あれ、なんか後半宇宙編に突入して、「餃子に真に合うタレは何か」を探し求めるみたいな展開になってませんでしたっけ。それだけ妙に覚えているんだよ。こっからわかることは、人間の一種の発達段階として、餃子のタレに対する嗜好が変わる瞬間がある。その瞬間に人は惑って、どうすりゃあいいんだと彷徨い、最初にしがみつくのが「酢胡椒」なのではないか。
だってそのー、深夜の馬鹿力にメールで来てて採用されているということは、そんなに特異的な意味の分からん事象だってわけではないと思うんですよ。「あー確かにいるよねそういうオバちゃん」くらいの感覚で採用されていると思う。ということは、世界……はともかく日本には、ある一定の年齢になった途端に酢胡椒に目覚めて、酢胡椒かけ爺/婆に化す人が、それなりの数存在することになる。
なんでだよ。
普通にわからんのよ。「ごちそうといえば焼肉だったが、もう焼肉入らなくなって、なんかいい魚とかを求めるようになった」はまあわかるじゃん。これは代謝機能というか、シンプルに胃腸の機能が低下していくので、それはそうだろうなあという感じになる。
天ぷらには塩! は正直あんまりわかってない。めんつゆのがうまくね? って思っている部分がある。少なくとも選ばしてほしい。よろしければお塩でどうぞ、は許す。塩で食えは許せねえ。ただ、許せはしないが理屈はわからんでもない。つまり、せっかくカリッサクッと揚げて、しかも結構エビとかキノコとかの質が良いとしたら、カリサクのまま、素材の味をあじわってほしい。だから、べちょべちょになりかねず、味の濃いめんつゆじゃあなくて、塩にする。理念はこういうことだろう。わかる。善し悪しは別として。で、加齢と共に「良い」天ぷらを食うチャンスは増えるから、それによって「天(ぷらは塩)狗」化する人がいてもおかしかない。
ディズニーランド、USJより鎌倉とか奈良のほうが好きになってきた。まあこれもわからなくはない。やっぱ年取ってくると、周辺知識が増えるので、仏像とか見ても多少面白いなって思えるようになってくるんだよな。三十三間堂に迦楼羅像があって、解説読むと実は迦楼羅って結構えらいやつなんですよね。八部衆みたいな。そんでシンバルかなんか持ってんの。新桃太郎伝説では、あんな小物の最低の悪だったのに、結構えらいじゃんみたいになる。そんで、そういうなんか四天王だ八部衆だかが並んでいるなかに、突然現れる金毘羅。「ワニの化身」。急に? 急になんか、特段の身分を持たないワニの化身が主役顔して並んでいるのは何? とか思って面白いじゃんみたいな感じになる。これはだ多分真の大人の楽しみ方がわかってないですね。でもまあ、知識量とかの増加と共に、100%エンタメを全面に出してない事物の面白さがわかるようになりそうなのはわかる。
餃子に「酢胡椒」はなんなんだ。味をシンプルにしているわけでも別にないと思うんだよ。これが塩だけで食うとか(現にこのパターンの餃子は好きで、チャオチャオという店のエビ餃子は塩で食うとめちゃくちゃうまい)、ラー油だけで食うとかだったらまあわかるが、酢は酢だしさあ。胡椒は胡椒じゃん。つまり結構強いじゃん。でもねえ、不思議とうまいんだよなあ。ただそのー、これはやり方さえ教えたら、たとえば中学生とかにもウケる気がするんだよ。なぜ加齢に伴って発生するんだ、この感覚は。目玉焼きにはソースか醤油かみたいな属人性の要素より、発達性の要素が強い気がすんですよ。そんなことないのかなあ。何かご存じのことがあったら教えてください。
2020年12月09日 06時15分の測定結果
体重:100.20kg 体脂肪率:32.50% 筋肉量:64.15kg 体内年齢:48歳
それで餃子を食いましたと言うと思っただろう。俺も思った。みよしのに行く準備万端だったんだが、眠かったのと後の予定が詰まっていたので、結局みよしのいかずにマックスバリュで適当な食材買って鍋というか水炊きを食った。ちょっと減ってよかったですね。誤差。
なんか、別に普通にラーメンとかは売ってた(と思う)のだが、レジに「小麦製品が品薄で、パスタ・小麦粉・たこ焼き粉はおひとり様2点まででお願いします」的な張り紙があった。年末で巣ごもり用に買いだめてる人がいるから? にしてはなんか、その話あんま聞いてないな……最近外食ばっかだからか……? などと思いを巡らしていると、本質が邪悪なのでちょっと邪な考えが過った。
なんか売りたくてそれなりに保存が効いて、品薄になってもおかしくないものがあるとするじゃあないですか。これについて飛ぶように売るためにはどうしたらいいか。広告を出したり、安売りをしたり、インスタグラマーを雇ったり、ためしてガッテン! に賄賂を送って特集してもらったり、いろいろなことを試してきたが、結局一番効くのは品薄を煽ることだった!! と気づいてしまった販売担当がいてもおかしくないですよねえ。こういうのをシンプルに邪推という。すいません。本当に、ただ思っただけで、「そうしているだろう」とかのつもりは一切ありません。たこ焼き粉に関しては、この戦略とってもあんまり困る人いなそうだから、最悪やってても文句はない。こういうの、行動経済学とかでなんかもうテーゼになってるんですかね。なってそうだな。こっちは特に知りたくないので、教えてもらわなくても大丈夫です。酢胡椒の発達理論だけ情報求。ではまた。
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