最初の与太話は、「最近室内で裸です」くらいの意味です

 なんか人だかりがあって。


 なんだろ、事故とかじゃあないといいな、って思いつつチラ見したら、あんまファッションには詳しくないんですけども、なんか見るからにお洒落、というか奇抜、みたいな格好をしているオッサンがいて、で、うわーすげー格好、って思ったけど、そんな人が集まるほどのことか? ここはどこの片田舎だ、とか思って、そこを立ち去ろうとした矢先、なんやら警察が来て、オッサンを連れて行ってしまう。薬でもやってたのかね。言動は見てないからね。怖いね。世界がラブとピースに満たされますよう。


 なんて呟きながら用足して帰ってきたら、ネットニュースで、「男性が逮捕。バカには見えない服を着ていた、などと意味不明な供述を」みたいなことが書いてある。住所はこのへんだ。ってことはまさかあのオッサンか。

 でじゃあ俺はバカではなかったのか、でもどう考えてもこれかなりマイノリティだし、童話的に言うと俺の方が真のバカみたいになるし、オッサンを庇って出頭? 証言? しにいったとして、あのオッサンである保証もなし、そうだったとしても信用してもらえる可能性も高くなし。もやもやするね。なんか複雑やのぉ。世の中。


 というようなことは全く起こっておらず、ただタコを執拗にマンションの壁にぶつけ倒す人間がいるくらいしか珍しいことのないこの街で、俺はひさびさに内勤と洒落込んでいた。のは良いが自宅にはクーラーがなく、ただただ暑いので服を脱いで過ごしていたところ、気づきがあった。

 ぼけらっと動画なんかを見てたり、ツイッターなんかを眺めたり、ファイアーエムブレムヒーローズなんかをやってる時は暑いは暑いが汗はかかない。飯を作ると加熱は避けられないのでまあ汗をかく。このへんまではまあまあ分かるのだが、一応内勤、ということになってるので勤、を多少すると、途端に顔中が汗にまみれてしまい、たんにまみれる、に留まらず、したたる、に即座に移行してしまい、タッチパッドにぽたぽた雫が落ちるようになって気色が悪い。自然、水遊びを兼ねて皿を洗ってみたり、洗濯をする方に流れて、おかげで家事は捗るが勤は捗らない。また困るのは分かりきってるので、クーラーのあるところに這い出して、働きながら考えた。


 つうことはですよ。つまりですよ。

 飛んだり跳ねたりをしたらば人間はカロリーを消費する。で、カロリーを消費したら痩せる。これはまあまあ真理でありんしょう。ここは別に疑っちゃあいない。

 問題は、「カロリーを消費する」ための行動を取る暇がなく、そんがために痩せない、というところにある。と思ってた。信じてた。明日もまた日が昇る。止まない雨はない。それとおんなじくらい、カロリーを消費できないから痩せない、ってのを信じていたわけである。


 ところがですよ。


 「カロリーを消費するための行動」、というのは先に述べたように飛んだり跳ねたり殴り合って夕焼けを眺めながら友情を深めたり、マンションの壁に執拗にタコを叩きつけたり、などが代表例であって、座ってデスク・ワークをする分には全然消費しない。いいとこ基礎代謝程度、で俺の基礎代謝量は、いちんち1860 kcal前後ってタニタが言っている。ペヤングの超超超盛りなんて食べたらそれだけでオーバーだが、実はこないだ食って、そんでそんなの余裕で食える。めちゃ多いなぁとも思わない。まあまあ大盛りっスねくらい。って感覚の人間なので、油断してるとそんくらいは食べちゃう。だから痩せない。そんなもんだろ、って思ってたんだけども、マジメールとかマジ仕事をしてる時だけ汗がだんらだら、ってことを考えると、こわぁい考えが浮かんでくる。


 つうことはですよ。つまりですよ。

 全然運動してないアイツが痩せてるのは、少なくとも太ってないのは、体質、とか遺伝的資質、とか、なんかそんなことだと思ってた。つまり生まれつき。生まれつき持ってきたものに対してどうこう言うというのはこれ、人非人の発想であって、少なくと開化した文明人はそういうことを思うかもしれないが言わないようにする、というのが現世のルールである。で、俺もこの「生まれつき太りやすい(痩せにくい)んですよ、文句あっか? あ? ある? それで文明人気取ってんのか?」という言い方を便利に使って参ったわけである。

 まあもちろん、生まれつきなんか違うというのが完全に否定されはしないと思うが、しかし、それ以上に、ひょっとして、日常の中で、一生懸命、真摯に、お脳を使っていることが、結果カロリーの消費に繋がってて、それが故に痩せてるってこと、あるんではないかなぁ。


 だとしたら。だとしたら俺はあまりに普段からぼーっとしすぎということが、体型面からも証明されてしまうんではないか。それはなんか。さすがにちょっと。

 いやぁ、走る暇とか無くてですねェ、ってのはこれ、ギリギリまだなんつうか、「暇がない」、と言えるだけ社会に貢献している感じがあるけれども、走ってもないし、職場でも内勤時も、原則的にはぼうっとしているだけでねえ、ってなるとですよ。いやそういう人間にだって幸せに生きる権利はあると思うけれども、「太る」ことはこれ、素直に受け入れないといけないよって話にならないですか。


 時間的余裕さえあればね。ちゃんと走ったり、体に良い食事をしたりして、そんで痩せる。今は時間的余裕がなく、脳も酷使しているのでだからやむなく痩せてない。この言い訳が封じられることになりゃあしないですか。だって脳を酷使しているとしたら痩せるべさ、ってなるもんさ。


 それはマズイ。そうなると、あの非実在中年の、「バカには見えない服であ〜る」という発言が嘘になってしまう。非実在だから嘘もなんもないんだけど。


 ということで、焦った俺は実に1ヶ月ぶりにジョイフィットに行ってきて、そんで水素水も飲んできたとこういう話である。昨日の昼の体重がこう。


2018年07月31日 10時59分の測定結果

体重:87.10kg

体脂肪率:27.10%

筋肉量:60.25kg

体内年齢:40歳


で今朝がこう。


2018年08月01日 08時24分の測定結果

体重:87.40kg

体脂肪率:26.60%

筋肉量:60.85kg

体内年齢:39歳


 体重こそ300 g増えたが、筋肉量は600 g増えてるし体内年齢も減っている。きっちり運動した成果が出ている。また、体内の水分が水素水に置き換わることによって、水素は軽い原子なので軽くなるといった効能もあるのかもしれぬ。あー良かった。脳は関係ないですからね。これは筋トレとランニングの成果であってね。惜しかったなぁ、脳だけ使って増減見たら分かったかもしんないんだけどなぁ。行っちゃいましたもんねジョイフィット。あっぶね。セーフ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る