9月編Prologue:たぶん死ぬほど太ってる

 今(9/4日現在)姫路にいる。

 

 北海道はもう完全に寒いのであーもう終わった秋だ、俺の夏は死んだ、砂浜の写真を撮ろうと思って透明のフォトフレームを用意していたのに意味なかった(透明のフォトフレームを介して現実の写真を撮るとインスタジェニックだよって聞いたので)とか思ってたが、それでも心のどこかに油断・慢心があって、それはなぜかというとそうは言っても内地は暑かろうと思っていたからだ。ところが普通に涼しいでやんの。こりゃあまいったね。夏の間に痩せようと思っていたのに天高く雅島肥ゆる秋が来てしまった。今のツイッターアイコンちょっと馬だし。

 はーあもうダメだミサイルも来るし水爆もアレだし、やだやだ、と思ってホテルで鏡みたら。とんでもないデブがそこには映っていた。これは俺の直感だと、90は確実に超えている。95……はないと思うけど、92とかはありそう。やばい。まじか。今までの努力はなんだったの(大して努力してなくないですか?)(う……)。


 でもやっぱ旅先にいたらそれなりに物は食う。食っちゃう。だからそれはもうアリ、しょうがないことにする。

 ただ断固として言うが、帰ったらダイエット再開する。もう精神的とか甘いことは言わない。豆を食って走る。それで行く。それはもう決めたんだけど、あとやっぱレコーディングも大事なので、そういうわけでリハビリ的に記録を書こうと思った。


 それでまあ、言うて9月もまだ4日、そんなんスって書けるだろと思って書き始めたんだけど、初日で躓いた。躓いたっていうか字数が暴れてしまった。なのでとりあえずPrologueと銘打って初日の話を書くが、ようするに目玉焼きの焼き方に文句を言うマザコン男の話である。【閲覧注意】とここにつけておこう。たいしたことは書いてない。まだそこまで太る要素もない。本番は明日からだぜ。


9/1

 近況ノートには書いたが実家に泊まりに行った。うちの飯はどうもズレているという話を書いた。ただ断っておきたいが、飯が不味いということそのものに文句があるわけではない。なんかズレてんなあって思うって感じ。でも今回に関しては、単に飯が不味いことに文句を言う話になってしまい、申し訳ないと思っている。


 朝、『「これおいしいんだよ、お土産にあげる」「どうもありがとう」』減塩インスタント味噌汁と、目玉焼きとごはんが食卓に並ぶ。

 そういえば昔、目玉焼きとごはんって朝食は意味わかんない、せめて卵焼きで味がついてればまだギリギリおかずとしては認めるんだけど、なんなの目玉焼きって、イミフ、目玉焼きにするくらいだったら生でいいよくらいに思ってたことを思い出す。

 でも目玉焼きごはんってまあ、朝食としてはスタンダードなものである。美味しんぼにも、なんだっけ、IFECだっけ(International Fried Egg Conference?)、めっちゃ目玉焼き好きの会があるし、別に自分で作って食べる分には簡単だし(卵焼きってアレで微妙に面倒で、確かに目玉焼きにしちゃったほうが楽。ハムとか敷けるし)、劇的にうまいわけではないが普通にうまい。

 ところがそんな目玉焼きごはん、昔は出てきたらちょっとマイナスの飯だった、という記憶が蘇る。あーこれはね。これは俺に非がある。俺の味覚が幼くて、目玉焼きの良さというか、あの感じがわかってなかった。それで「うちの飯はまずい」とか偉そうなことを言って申し訳なかった。失礼したなーとちょっと思いつつ食べた。


 ……イマイチ……


 まじか。イマイチだわ。目玉焼きにイマイチってあんのか。

 でもイマイチな理由、これははっきりした。焼きすぎなの。ガッチガチの完熟なの。


 黄身って多少熱が通ったほうがうまいのは認めるけど、これが「有機農法で作った餌だけを食べて育った鶏の初卵」だったらうまいのかわからんけど、普通の卵だから加熱しすぎるとぼそぼそになっちゃう。これがイマイチだったんだよな。なるほど。


 でね。ちょっと迷ったんですよ。というのは、もちろんだけど食いますよ。何に迷ったかというと、このことを言うかどうか。

 もうしばらく実家来ないし別に目玉焼きごはんを食う機会もあってあと数十回かそこら、下手したら1桁かもしれない。だから別に「改善を要求したい」とかそういうことではない。卵の焼き方なんてまさに各自の宗教で、たとえ家族の間でも信仰についてはお互い自由であるべきだと俺は思うから、理由がはっきりしてむしろ良かったというくらいのもので、もう少し半熟でって言いたいわけでは全然ない。


 ただ。もしも。これが俺のせいだったらどうしようと思った。

 たとえばそうだなあ、小さいころ俺はアトピーがあって(これは本当にあった)、でそれで、卵アレルギーの発生を避けるためにガチガチの完熟にしてたとしたら? (でも普通に卵かけごはんを食べてたからこのセンは薄いということに今気づいた) 

 あるいは、幼少期の俺、あるいは兄弟、または父あたり、とにかく誰かが「半熟の卵は気持ち悪い」とかそういうことを言ってて、以後完熟にすることにしたんだとしたら? (でも普通に卵かけごはんを食べてたからこのセンは薄いということに今気づいた)


 ちょっと悲しい話になっちゃう。そう思いませんか?

 

 というのは、母親は母親で、俺の、あるいは兄弟の、家族の、肉体的または精神的健康に配慮して、焼きたくもない目玉焼きをガンガンに焼いているのかもしれないわけである(でも普通に(略))。それをば息子は全くその配慮・憂慮を慮ることなく、「なんだこの目玉焼き、焼きすぎだよイマイチ、イマイチな目玉焼きってこの世にあんのか」って思っている。これはひどい話でしょう。


 第一こういうのって家庭の味っていうか、普通最初に接したやつがその人にとっての「それ」の味になるわけで、だから許容範囲は本来めちゃめちゃ広いはずなんだよ。遺伝的にも近いから、味の処理だって近い形になるはずだし。その許容範囲をぶっちぎってイマイチで出てくるってのは、理由がないはずはない。何かあるのかもしれない。その「何か」に気づかないまま、ただ文句を内心で思って「イマイチな飯だったなー」なんて言って、いつまでも親だって生きているわけではない。


 ずっと不味いと思っていた目玉焼き。でも母の死後、手記を見つけて、「貢が半熟の卵を食べてアレルギーを発症。これから卵はしっかり焼かないと」とか書いてるのを発見して(だから生卵を食べてるんだってば)、その時に思うわけ。「ああ、お母さんは本当は僕のためを思って……。不味いと思っていてごめん、お母さん」。でもその謝罪を届けることはできない。これは泣ける。泣けちゃうでしょ。そして俺の人生には暗く重苦しい影がその後ずっとつきまとうことになる。


 それは良くないなーと思った。ので軽い感じで聞いてみた。


「なんか目玉焼き完熟にするのって理由ある?」

「いや別に?」


 完。


 理由なし。すいません長い話を聞かせてしまって。特に何もなかったのに。

 しかも出したつもりはなかったけど、若干「半熟のがうまいのにな~」感を出してしまったようで、少しおこになっていたことをご報告します。家庭での言葉のやりとりに失敗する。2マス戻る。


 で、戻ってらんないので祖母宅へ。カービィボウルを久々にやる。ステージ1の完全攻略をしようと思ったが1-2から忘れてて全然ダメ。1-1は完全に覚えてたんだけどねえ。

 カービィボウルって「自分用のアイコン」を作れるので、それでちまちまかわいいカービィを描こう、俺は大人なんだからもうできる、なんだったらカービィをプリントアウトしてトレスをしてでも、って無駄な作業をしてて、うまくできたらツイッターかインスタに上げようと思っていたんだけど、晩御飯を食べたらすっかり忘れてしまっていた。子供か俺は。


 食事については、昼はコロッケ、夜は叔父が蕎麦屋の従業員をやっていて、ということで祖母宅にはここの蕎麦・つゆがあってプラス天ぷらなんて草揚げたってうまいに決まってるんだからってやつがあるので飯はうまい。ハッピー。芋天がうまい。


 あと名残のスイカというか、なんかそんなでスイカ出してもらって、うまい。体が冷える。なのでやっぱ夏の食べ物だなとは思ったけど、スイカは結構好きなのでこれもハッピー。よかったですね。


 でまあ、何しろ実家の飯は大してうまくない。から量は食べてない。ローソンのおでんはうまかったけどおでんだからカロリーは低い。祖母宅も、ま、多少おかしはつまんでいるけど、あとゲームばっかやってるけど、あと昼も夜も揚げ物だけど、それでも超絶食いまくっているわけではない。普通量を食事らしく食べている。実家帰ると太るっていうけど、そこまで大きくは変わんねーだろうな、こんくらいだったら、とそう思っていた。


 このときまでは。


 俺の体重を悪夢が覆うのは、その翌日、定山渓に旅立ってからのことである……


                           To be continued……⇒

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