快感原則の彼岸

 すげー長く書いたので行為論に参入しましたが、3/21の記録です。


 確変に入る、という言葉があって、これはみなさんなんとなくはお分かりでしょうが真剣に多少説明が必要だと思うので説明いたしますと、ぱちんこという遊びでは、通常は「ヘソ」と呼ばれるぱちんこ機中央の入賞口、まあ穴なんですが、そこにぱちんこ玉を入れることを目指します。この入賞口にはあまり玉が入りませんし、入ったところで低確率でしか当たらないわけですが、ここで当たった時の一部(基本的には)で、大当たり消化後に大当たり確率が変動することがあるわけです。それで「確」率「変」動の頭文字を取って確変。


 多くのぱちんこというのはこの確変状態を目指す遊戯でありまして、たとえばCR涼宮ハルヒの憂鬱なんかですと、ライトミドル機では通常の大当たり確率は1/239(実質。小当たりの1/4のV入賞を含む)でありますが、「確変」状態に入るとなんと1/4 になるわけですね(確変継続率は75 %)。


 正確に言うとCR涼宮ハルヒの憂鬱は、電チュー入賞時に1/1でV入賞口に繋がるゲージの入り口が開き、そこのゲージにあるベロみたいなやつの開放タイミングがV入賞口の開放タイミングと一致すると入賞する仕組みになっているわけですが、まあとにかく高確率で当たるわけです。このスペックが大好きで涼宮ハルヒの憂鬱にハマったと言っても過言ではないのですが、まあ他の台も基本的にヘソ当たりよりは確率が優遇されているわけですね。


 さらに、一般的には確率変動時には「右打ち」と言われる玉が入りやすくなる状態になっており、そのうえ当たった時のラウンド振り分け(どれくらい玉が出るか)も優遇されているわけです。だから、ヘソで当たった時に確変に入るかどうか、というのはすごく重要なことなんですね。


 色々規制がかかっているわけですが、いまだに確変継続率89 %とかみたいなアホみたいな台もあって、まあそういうのは結構人気があるんですが(てんから~~)、とにかく確変に入る、というのはそういう良い状態ですが、同時に、ここにほいほい入るようではぱちんこ屋も商売あがったりですから、なっかなか入らないようになっているわけです。サイボーグ009なんてその最たるものですね。


 つまり、確変に入るという言葉には「めったにその状態には入らないが」「入るとバリバリ玉が出る(≒おぜぜが増える)」「脳内物質もドバドバ出る」という意味合いが含意されているわけである。


 前置きが長くなったが、世の中にはこの「確変に入る」ことによってなんとか生存をしているタイプの人間がいる。いやその、パチプロの話ではなくて(パチプロの多くはそうだろうと思うが)。


 多かれ少なかれ、皆さんにはこういう経験があるでしょう。


 やらねばならない仕事がある。それは分かっている。

 ところが、なかなかその仕事をやる気にならない。〆切は刻一刻と迫ってくる。

 ついに〆切前日だ。夜になった。はー参った。


 っていうところから、翌朝6時30分になんとか終わった。あ゛ーーーーーー。


 でこの時冷静に考えると、「実質その仕事に取り組んだ時間」というのは、せいぜい8時間とか9時間とか、下手したら4時間とかになっているわけである。

 仕事の発注が例えば一か月前とか、二週間前とかだとしますわね。だとすれば、一日30分時間を捻出して(たとえばこのような記録を書き連ねたり、前段でぱちんこの仕組みについて語ったりするような時間を削ってだ)、二週間やれば7時間分の仕事量になる。まあ終わるでしょうよ。


 良く分かった。反省しよう。次からはちゃんと、こつこつ、早めにやろう。


 と思わなくなったのはいつのころからだったろうか。

 もう「そうなる」ことを勘定に入れるようになったのは?


 つうのは、さっき俺は「皆さんには多かれ少なかれこういう経験があるでしょう」と申し述べたわけであるが、俺にはこういう経験「しか」ない。いや「しか」は言い過ぎにせよ、8割、9割はこういう経験である。最初はつらかった。でもね。


 さっき確変状態の定義に、「めったにその状態には入らないが」「入るとバリバリ玉が出る(≒おぜぜが増える)」「脳内物質もドバドバ出る」というものを挙げた。この最後がやべーんだ。


 脳の中のマシュマロ・マンという記事において、俺は以下のような文を書いた。


"そもそもドーパミンとは何か、というと報酬系を活動させる神経伝達物質で、神経伝達物質、というのは漢字が六文字も続いているので俺にはなんのことだかさっぱり分からない。必死の思いでググってコピペするので精一杯だ。

簡単に俺が理解してることを言うとドーパミンがいっぱい出ると気持ちよくなる。いい心持になる。これもちょっと正しくない説明だと思うが、まあ大体そんなもんである。さっきの覚醒剤とかも、脳内のドーパミン総量を増やしましょうという薬である。

で、これがなんで集中力なんかと関わるのかというと、我々は快なくしては学習をできないからである。快を得たものを繰り返そうという仕組みが動物にはあり、それを我々は学習と呼ぶのである。いや不快・罰だけでも学習、できないことはないがどう考えてもコスパが悪いし、絶対精神的に病む。"


 てなもんで、自分で読み返しても何が書いているかほぼ分からないが、俺は要約の力には長けているので要約すると、「ドーパミンが出ると気持ちよくなるので、その『気持ちの良かった』ことにかかわる行動をもっかい繰り返そうと思う。何か善行を為す。それを人に褒められる。ドーパミンが出る。そしたらその善行をまたしようと思う。これを学習と言う」ってなところ。最初からそうやって書けばいいのにね。

 まあ正確に言うと「学習」というのは善行でなくても起こる。分かりやすいのはそれこそ覚醒剤ですな。覚醒剤を導入する。ドーパミンが出る。気持ちが良い。そったらまた、覚醒剤を導入したくなる、ってな流れである。


 でこれはだから、行為の善し悪しには関係なく起こってしまうわけである。これで、普段からゆるぅくちょろちょろとドーパミンが出る体質の人間であれば、まあ〆切ぎりっぎりで終わって終わったーの瞬間にドバーってドーパミンが出た、それはそれで気持ちいいけども、一日三十分、確かなタスクをこなしたあとのちょろーんっていうドーパミンも気持ちいいわけで、まあどっちもできる。


 ところが世の中にはこのドーパミンが出にくい、あるいは出てもすぐどっかいっちゃう、というタイプの人間がおるんですな。俺だ。いやこれは別に血中濃度を調べたわけではないから確かなことは言えないけど、たぶんそうだと思う。

 でそういう人間はどうなるかというと、一日三十分の善行程度で出るドーパミンではどうにも気持ちよくはなれんのである。


 ただし。

 うおーギリギリだ―ぐぐぐう辛いなんだもう、いい加減にしてくれよほんとに、あーもーーーーって言いながら、なんとか成果物を仕上げる。ドーパミン、ドバー。

 これはてきめんに効く。普段あまりこの快楽を得ていないからである。


 ギャンブリング課題という課題があって、これはどういうものかというと、たとえば次のような二条件がある。

<追記:たぶん「書く」だけがドライブしていたので、中身、特に左右がしっちゃかめっちゃかになっていた。申し訳ない>


 裏向きに伏せられたトランプがある。なお、このトランプは十分な枚数が設定されているので、カウンティングは無効であるが、トランプであるので赤と黒は等確率に分布している。

 さて、ふと気づくとあなたの両手にはひとつずつボタンが握られている。

 

 あなたがボタンを押すと、伏せられたトランプから一枚がめくられる。


 右手のボタンを押したとき、もし赤が出れば50円もらえるが、黒の場合は25円没収される。

 左手のボタンを押したとき、もし赤が出れば500円もらえるが、黒の場合は500円没収される。


 あなたはどちらのボタンを押すか。

 

 いわゆるところの期待値、というのを計算すると、右のボタンを押したときは、一枚めくるごとに12.5円もらえることになる。一方、左のボタンを押したときは、期待値は0円である。だったら右手のボタンを押し続けているのがお得、ということになる。


 とはいえ、たとえば右手のボタンを押し続けていたら3連続で黒が出た場合、あーそろそろ赤(得する方)が出そうだ、だから次は左を押して500円ゲットを目指そう、であるとか、たとえば2連続で赤が出るまでは左を押したりして、1000円稼いだところでその後は右に切り替えよう、ということを考える人もおられるだろう。というかそういう人がほとんどで、それも立派な戦略である。オカルトではあるが。だから、右を押し続けるのは得、なんだけども、みんなどっかしらで左を押すは押すのである。ただ、この性向にはやはり個人差があって、右を押す方が得は得、にも関わらず、「左を押そう」という選択を選びがちな人、ってのがいるわけだ。いることは実証されている。


 俺はすごいこの気持ちが分かる。トータルでは損する(というか±0になる)ということは分かっている。分かっているけど、50円なんてもらってどうすんだくだらねえ、ここは一発500円狙いじゃい、となってしまう。だろう。たぶん。


 というタイプの人間は、なるべく小さなふふふんと、なるべく小さなふふふふふん、なるべくいっぱいふふふふふん、というのは向かないわけである。どんだけ大きな不幸せがあろうと、一発でっかい幸せがないと、ドバー、出ないからである。


 このタイプの人間は、どうなるか。


 太る。


 いやほんとそうだなと思うんだよ。

 というのは、本日の体重はこちら。


 2017年03月21日 11時35分の測定結果

 体重:89.75kg

 体脂肪率:28.30%

 筋肉量:61.05kg

 体内年齢:41歳


 まあそら戻るよなァ、とは思ったが、ちょっとなあ、とも思った。せっかくがっつり減ったのに、勿体ないなア、と思った。

 更に連絡が来て、「本日送別会で宴席を設けたが、一名病に臥せったものがいるので空きが出た、がしかしもう当日であるのでキャンセルが効かぬ。汝、時間と一定額の金銭ありや?」と言う。俺はこういう会に出ることで糊口を凌いでいる人間であるので、こういう誘いは基本的に断らない。たとえそこで送別される人間と一面識がなくても俺は行く。現に今回は俺を誘った知人とあと2名以外、ほぼ一面識もなかった。なんでそんな会に呼ぶんだろうな。

 ちょっと面白かったのは、外つ国の人が居て、ララランド見たって話したら、「Whiplashを見たか、あれもいいぞ」と言われて、「しらねーなその映画」と返してネットで調べたところ、「セッション」の原題だそうで、原題で語るとかすかしやがってこのヤローと思いかけたが、いや多分そっちのタイトルで見たんだろうからすかしてはいねーなと思い直した体験である。ゆがんでいる。

 

 ただまあ、こういう会があるということは、今度こそ太るだろう。こーれは良くない。勿体ない。

 というわけで俺は鞄にひそやかにジャージを詰め、一定の業務をこなした後、厠で衣類を着替えてようやく春の兆しを見せた北海道の試される大地を走った。走った、ふふんふ、既に満身創痍だ、みたいな状態になって、また厠に戻って通常衣に着替えて会に行き、料理のとりわけを買って出て、サラダ類は多めに取る。肉・米類は他人に多く振り分けるなどの涙ぐましい苦労をした。


 でさっき帰ってきて、風呂入って測ったのがこれだ!!


 2017年03月22日 01時18分の測定結果

 体重:87.55kg

 体脂肪率:26.10%

 筋肉量:61.40kg

 体内年齢:38歳


 どうだみたか。

 普段からこれが出来りゃあいいんだよなァ……。


 昨日のだからあの体重、分からない、意味不明、この世は狂っているけどたぶんそれはふんふんな証、みたいなことを言って世を儚んだもんだけども、やっぱ嬉しかったんでしょうな。それがドバーに繋がり、結果、今俺(の精神)は確変状態に入っている。


 確変状態、というものの定義を三度言うと、「めったにその状態には入らないが」「入るとバリバリ玉が出る(≒おぜぜが増える)」「脳内物質もドバドバ出る」である。


 一個大事なことを言い忘れていた。


 「いずれ終わる」ということだ。現行機の(基本的な)確変継続率の上限は66 %ということになっている。3回に1回は終わる。これを日本の古い言葉でなんというか?


 「三日坊主」という。そうなりがち。そら太る。ダメだ! これではいけない!!

 そういうことじゃあないんだダイエットって。俺は知っている。知識としては。継続するのだ。継続こそが力、力こそがパワーなのだ……知っているが……しかし……。


 とりあえず今日は頑張ったということにしてもいいですか。

 明日も頑張ると思います。その次の日の保証は全くない。

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