純粋脂肪批判

肥満状態と正当化

　ロールズ、というロールキャベツみたいでおいしそうな名前の人がおり、無理にデブネタを入れたことに冒頭から若干の後悔がある。ペスタロッチ、の方がうまそうですよね。パスタ感とペペロンチーノ感があるので、まあ、新種のスパゲッティ料理の名前ですと言われたらまったく疑う余地なく信じる感じの名前である。必殺技は隠者の夕暮れ（ハーミット・ダスク）（※正しくは、Abendstunde eines Einsiedlers、つまりEvening hour of Hermit）。岡山県にはペスタロッチタウンがあるそうです。別に行ってみたくはないですね。

　いきなり話が逸れた。逸れついでにレビューの御礼を申し上げるが、すっかりレビュー大喜利の様相を呈してきており、喜ばしい限りである。

　おおさわともかず様、越智屋ノマ様、ありがとうございます。

　さて話を戻すとこのロールズの発明に、「むちむちの肉襦袢」というものがある。

　いや、嘘です。ないです。

　だから無理にデブネタを入れるのは、ただ俺が恥ずかしいだけなんですけど。じゃあやめれば？

　やめます。無知のヴェール（veil of ignorance）ですね。雅島は無知のヴェールを装備した。無知のヴェールはのろわれていた！　防御力が125上がった。賢さが225下がった。っていう装備みたいですけど違います。賢さは下がらないし、あと俺の賢さはもともと 5くらいしかなくて、ビアンカのリボンをつけても15、つまり制御不能なので、この呪いには大した意味がないですね。かしこさのたねをくれ。

　えっと、簡単に言うと、みんなで無知のヴェールを被ると世界が平和になりますよみたいな話です。で、この章のタイトルの元ネタであるところのサンデルには批判を受けている話なので、ちょっと皮肉な感じはありますね。気にせず行きましょう。

　こういうことです。

　読者諸氏は俺によって意識混濁させられた結果、記憶喪失薬を投与されてある部屋の中に閉じ込められている。

　そうして、今むちむちの肉襦袢を着せられており、記憶を喪失しているので、自分の元の体重・体型は思い出せない。

　そしてその部屋に備え付けられたモニターに仮面をつけた俺が映り、こう言う。

「みなさんにはこれから、話し合いをしてルールを決めてもらいます。体重に関するルールであればなんでも結構！　そのルールを通して、まずはこの部屋の人間を半分まで排除させていただきます。その半分の方は……くっくっくっ。これは、言わぬが花でしょうね。生き残った……おっと失礼、勝ち残ったみなさんには、豪華な賞品をご用意しています。それでは、どうぞ、有意義な話し合いを！」

　そういうと俺は姿を消し、モニターには、1:00:00という数字が表れ、0:59:59、 0:59:58、とカウントダウンをはじめる。

　デスゲームのはじまりだ！

　さあみなさんはどうするか？

　繰り返すが、皆さんは記憶を喪失している上に、肉襦袢を着せられているので、自分の元の体重・体型は思い出せない。

　この状況で、「デブから順に死ね」って言えます？　自分がデブの可能性があるのに？

　言えないでしょう。だから、自分がどの体重・体型であっても有利になる、あるいは不利を最小限にするようなルールを考案するはずだ。

　例えば、先に一定量の体重を増やした人間が勝ち抜け、なんてルールは良いですね。

　人間、食べた分は体重が増えるし、どうやら『殺し合い』は禁じられていない。

　食べる対象はある。

　そうでしょう？

　あなた以外にもたくさんの人が、捕らえられているのですから。

　はーっはっはっは。はーーっはっはっはっはっ。

「あのモニターに映ってたやつは明らかにデブで、俺たちは流石にそこまでではないぞ。記憶はないがそう確信できる」「あいつより体脂肪率が低い奴が生存、にしたら、大半生き残れるんじゃね？」

　禁止ーーー！　ゲームマスターの体型を弄るのは禁止ーーーー！！

　そういう奴は肉襦袢が、ボン、ですからね。マスターは絶対！

　まあ無知のヴェールというのはそういう話で、ようは自分が金持ちだと、累進課税は嫌だってなるし、貧乏人だとふざけんな金持ちから金取れよ、となるが、自分が金持ちだか貧乏人だか分からない状態であると、どっちの状態だったとしてもそこまで不利にならないようなルールを提案できるでしょ、みたいなことである。

　でなんとおそろしいことにここまでが前置きなのである。

　みなさんは、以下の話を、無知のヴェール、またはむちむちの肉襦袢を着て、聞いてほしい。そうすれば、無碍に俺を責めようとは思わないはずだから。

　ということで虫歯ダイエットを勧めた訳ですが、

　2016年06月01日 06時11分の測定結果

　体重:95.55kg 　（5/31 96.50 kg)

　体脂肪率:29.90% (5/31 30.90 %)

　筋肉量:63.55kg (5/31 63.30 kg)

　体内年齢:42歳

　キレ――に1 kg落ちた訳です。

　しかも、筋肉量が落ちてない。完璧すぎるだろ虫歯ダイエット。

　デブは今日から歯磨きをやめましょう。全歯を虫歯にしていこう。

　俺は嫌です。もうあんな痛いのはヤダよぉ。ふえぇ（かわいい）。

　で、この日の食事である。

　朝：もう腹ペコで目覚め、とにかくなんか食いたいとなった。ただ、この時点では体重が減ったことによる満足感があり、なんというかある程度健康に配慮したものを食べようと思った。で、シチューを作った。

　いやシチューがヘルシーかというところには議論がありますが、満足感も欲しかったし。パンとか食わなきゃあ、いいんでしょう、と言いながら、あと家にある材料でしょっぱみを出せるのがそれくらいしか思いつかなかった。

　大体400 kcalということになっているのでそんなものでしょう。

　間：間食はなし。偉い。

　昼：で、このへんからちょっと歯車が狂いはじめる。というのは、もう丸24時間米を食ってない。なんかふらっとする。これは虫歯の治療のせいかもしれないけど、丹田に力が入らない感じ。ほけーっ、みたいな思考状態。あかんと思って、みよしのに飛び込んで、餃子定食を食べる。米を大盛にしなかっただけ偉いと思う。

　ごはん：普通盛り。250 kcalくらいにしといてください。もうちょっとあるかな。

　餃子6個：360 kcalくらい？

　味噌汁：50 kcalくらい？

　やはり米を食うと破壊力が増す。

　間：で。でよ。ここからが無知のヴェールの出番である。

　これをデブがやるから批判の対象になる訳だが、あなたは今無知のヴェールを被っている。だから、自分の体型が分からない。もしかしたらデブかもしれないですよ。その時に、このことを批判できるかよぉっく考えてほしい。

　まず昼にやるべきことを終えた俺は歯医者に行った。

　で、テンプレートの作成について相談する。そんなに高くないみたいなので、まあ、ダメ元でというか、今後また変な痛みが出ないように作ってみてもいいかなあ、という話をして、かみ合わせをなんかあの、変な味のガムみたいなのを噛んで測ってもらう。でそれで終わり。

　はーとりあえずあとはできるまで歯医者には行くこともない。うーん、すっきりした。歯医者に行くのに餃子を食うのはちょっと悪かったかな、でもまあ行く前に歯を磨いたし良いでしょう。

　そんなことを思いながら、札幌駅方面に向かう。

　というのはこれは本当天地神明に誓って言うが、最初はジムに行こうと思っていたのである。昨日はあまりにも歯が痛くて、着替え持って行き損だったが、懲りずに今日も着替えを持って出てきていたからである。

　ところが駅について、ふっと気づく。あ、デッドプールの公開日であったな。そして今日はファーストデイだ。ふうん。

　ただこの段階ではまだ自制心があった。

　いやいや。これで映画観ようもんなら、確実にポップコーンは食べてしまう。

　で、たぶん面倒臭くなってジムも行かずに家に帰るだろう。

　やめよ。

　……いやでもなあ。ファーストデイだしなあ。

　それで、俺は賭けに出ることにした。

　まっとうな職に就いている知人にLINEを送る。

　こいつが一緒に行くというなら行こう。仕事中だ馬鹿、お前のような閑職と違って、6時にのうのうと映画なんぞ観てられんのだと言われ、丸焼きの豚のスタンプを送ってくるというなら、ごめんね、と言ってやめよ。

　で本当に、ほんっとうに、信じてくれとしか言えないけど、３；７、いや、２：８で後者の方が確率が高いと思っていた。忙しい人だからだ。

　したら、

「あ、いいよ。札幌駅？　ファクトリー？　駅ね。じゃあ、行きます」

　とあっさり返事があった。

　あ、あれ～～？

　仕方ないので、いや全然仕方なくないんだけど、チケットを2枚買って待ってたら来たので、さすがに申し訳ないのでチケット代は奢る。で、流れるようにポップコーンを買う。しょうがないよ。アメコミの、言ったら悪いけどB級映画。これでポップコーン食わなかったらいつ食うのよポップコーン。こういうのを様式美、または形式美と呼ぶわけで。

　コーラはカロリーゼロにしましたよ。せめてもの抵抗で。

　ポップコーンのカロリーは、圧巻の100 gで484 kcal。ただ聞いて？　

　Lサイズで、元のとうもろこしは28 gらしいですよ。ということは、1/3で、しかも二人で食ってますからね。120 kcalくらいにしときません？　（元のとうもろこしの重量で測っていいかは知りません）　

　したらオマケみたいなもんですよね。このオマケの分が脂肪になるのだ！　はい。そうですね。無知のヴェール、若干脱げてません？

　で、映画を見終わって、じゃあ解散、俺はジムに行くんで、と言おうかなと思ったが、そこはそれ、人間の悲しさ、悲哀と言ってもいいが、そりゃあ一杯やりますかという話にはなる。なってしまう。

　ということで。

　夜：ビール、梅酒（３杯）（違うのよ。待ってくれ。梅酒のキャンペーンをやっててね。俺だって乾杯を済ませたら牛乳にしようと思ってましたよ。ただね。今月の限定の梅酒があるっていうから。しょうがない。これは。これだけは）。

　ビールがジョッキで202 kcalだそうです。ビール～～～！！　やるなお前～～！！

　梅酒も100 gあたり、156 kcalだとか。まあこれは水で薄めているんで、原酒量で言うと分からないけど、仮に300 gにしときます？　俺は自分に厳しいんで。

　あとはもずく天（214.4 kcal)、チャンプルー（272 kcal)、スーチキ（スーチカーとも。沖縄のベーコンですね。327 kcal）、カツオのなんか(114 kcal)、で、トータルで1,597 kcal。うわー居酒屋こえー。なにこれ。居酒屋で軽くいっぱい（一杯じゃあないけど）やったら、一日分のカロリーとれちゃうじゃん。どうなってんのよ。

　どうなってんだはお前の体型と思考だ、と言いたい君は完全に無知のヴェール脱げてますけど大丈夫ですか？　世界の平和はどうした？

　違うのよ。これは、……交際費、的な。人間関係を円滑に進めるやつ。社会に生きるための必要経費みたいなもの。

　俺がデブじゃあなければ、普通でしょこの日常。なんてことないでしょ。

　おれがデブで高い体組成計を買ってるから、お前何してんの、ってなるだけで、それをいったん忘れたらなんてことないじゃないですか。

　ねえ。

トータルは、2,787 kcal。おー。キレ――にカロリーオーバーしてはる。どう考えてもオーバーである。

　で翌日。昨日である。

2016年06月02日 06時02分の測定結果

体重:96.20kg

体脂肪率:29.80%

筋肉量:64.00kg

体内年齢:42歳

　ふっつーーーーに戻りやがるなーーー！　ホメオスタシス！　偉大すぎるだろ！！

　やっぱ減ったところで運動で畳みかけないとダメですね。

朝：残ったシチュー＋パン2切れ（6枚切り）（やっぱ炭水化物ないと力が入らないと思って）

700 kcal パンが入ると重いなあ朝から。

間：なし

昼：鳥白湯ラーメン（817 kcal)

　は、800超えてんの！？　こえーラーメン。ラーメンこえーよ。

　いやただ言い訳をさせてくれないかな。

　これは昨日会った知人に勧められたラーメンで、それで、俺はこのラーメンを食うために一つ手前の駅で降り、そこからもう一駅くらい歩いているので、まあ、カロリーだって少々は消費しているのである。

　あと、味はあっさりしてるのに、唇がこう……くっつくみたいな脂感が苦手なので（俺は家系のラーメンもそれが理由であまり食えない）（デブの癖にうるさいこと言いやがって）、スープは大体残しました。それも俺を許す理由の一つになろうか。

間：なし

夜：それでこれが最後の言い訳になるのであるが、夜はほんと、ほんっとうに、今日こそジムに行こうと思っていた訳ですよ。3日連続よ？　これで。この決意だけでも褒めてほしい。

　ところがですね。やや偉い人間がやってきて、美味い寿司屋に連れて行けと言う。知らんよ、美味い寿司屋なんて、と思いつつ、まあぐるなびかなんかで探して、それっぽいところに連れていく。

　寿司は平和な食物で、１貫が平均して32 kcalというところである。ここで言う1貫とは、「1個」のことね。

　ただね。22貫食いましたよ俺は。いやー食いすぎたなー。いやだって回らない寿司屋を人の金で食う機会はねえもんなーめったにー。704 kcalということにしておきましょう。

　プラス、あら汁（97 kcal)とブリ大根を食べました。庶民の悲しさ、ブリ大根（139 kcal)が一番満足感があった。

　偉いところは、酒は飲みませんでした。

運動：それで罪悪感があり、ねんしょう！２＋アプリで走りました。したら、今イベントがやっていて、歩数計みたいな奴も買えと迫られました。買います。買いますからぁ。とんでもねえ課金アプリだぜこいつは。100 kcal消費したことになっています。

　ということで総摂取カロリーは2,221 kcal。

　いや、1食くらいはなんかこう、なんかしないとダメですよね。

　まあこりゃあ、痩せはしねえよ。俺でも分かるそれくらいは。

　「本来痩せる生活をして、でも痩せない雅島さんかわいそう」がこのエッセイのテーマですからね。みなさんもう忘れてらっしゃるでしょうけれども。

　ちょっと何か、なにがしかを導入したいと思います。いつか。そのうち。たぶんね。きっと。メイビー。パァハプス。