自由主義とダイエットの限界
まさにですよね。
まさに、という話なんですけども。
どんぴしゃ、まさに、そのそれ、完全に一致、ということなんですけどもね。
ロールズの無知のヴェールは確かに良い仮説ではありました。
無知のヴェールに覆われて考えたことはまさに「正義」となる。
デブに優しい世界がそこにはある。
違う、と言ったのはサンデル、というか共同体主義者でした。
なんが違うか。
無知のヴェール、というのは、自己、人間、人格、自然権を持った主体、みたいな何かが、とにかくそこにありますよという仮定がなければ成立しないものでした。
でもまあ我々は理性の力を以て、それをしようと。その仮定をしようという話だったわけであります。
ところがそんな仮定はできない、と言うこともまた、出来てしまうわけです。なぜなら人間は社会的動物だから。コミュニティに属する動物だから。どう考えても社会階層のどこかには位置づいてしまうから。自分というものを語るうえで、自分の『属性』というものを切り離すことなんて、本質的に不可能であるから、である。
それもまた、正しい理屈ではある。
俺たちは社会というなにものかから切り離されて単独で存在することはできない。
昨日のデスゲームを思い出していただこう。
ゲームマスターの体型を弄った不届き物は肉襦袢が、ぼん、で、退場させられた。
仕方がない。真面目にルールを考えよう。
・太っている順、痩せている順では自分が不利になる可能性がある。だから完全な賭けになってしまう。
・比較的ランダム性のある要素を持ってくる。たとえば、体重の全ての位を一ケタになるまで繰り返し足した数が、9に近いほど上位になる、とか。これだと、71 kgは8だが、69 kg は15→6になるので、単純な体重の多寡では勝負は決まらない。
・実力勝負にする。つまり――お互いを食い物にしあう。
で、われわれの直観では、「実力勝負」が最も公平に見える、と思われる。単にルールを定めるというだけならば。
では道徳的には?
当然ながら他人を食い物にすることは否定されている。双方の同意があってもダメ、というのは、マイヴェスとブランデスのカップルが証明している(気持ちの良い話ではないので、グーグル検索の際はご注意くださいね)。なんでダメなのか、というと、もうこれは「ダメだから」と言うしかない。
いや理屈はつけられる、とあなたは言うかもしれない。お互いを「食料にしてオッケー」とした場合、無駄な殺し合いが発生して、双方の人権を奪うことになりかねないからである。
だったら、死体喰いはどうですか?
殺し合いは発生しない。ですよね?
そ……、それで、味を覚えてしまったらどうするんだ。
へえ。
あなたは、人間が美味しいと思っているわけだ。
そして、美味しいものは、それがたとえルール違反でも食べずにはいられない、と思っているわけだ。
その思考は――デブと何が違うと言うのですか。
う、うわあ、うわああああああーー!(ウミガメのスープを飲み干しながら絶叫)
いや滅茶苦茶なことを言ってしまったが、現実的には死体喰いならアリ、という文化圏もどうやらある、あるいはあったらしいことであるし、結局のところ、このルールは、「みんながダメって言うからダメ」ということに過ぎないという話でもある。
そうして、この、「みんながダメ」というところを重視しようというのがたぶんサンデルの理屈である。違ったかな。何度も言うが、これを参考にしてレポートとか書かないでくださいね。ほんとに。
でまあこれはこれで真理と言っていいのである。
ようするに、社会からの要請に応えるということは人類の持つ一つの善性であるということ。そうやって社会との紐帯を保ちながら生きていかなければ、俺たちには「善」とか「正義」というものをはかる確かな拠り所など、存在しないということである。
だから俺が昨日、知人に誘われるがままに食った飯も、単に俺が不善な存在であり、欲望に忠実な存在だからそうだった、ということではないのである。もうこれは断言したい。俺は善、あるいはそうでありたいし、別に欲望のままに炭水化物を貪っているわけではない!
社会的なね、コミュニティの中に存在する人間として。属性から「個」を切り離せない、そういう人間のなんていうか原初的な悲しみですよね。それを感じながら、以下の記録を読んで欲しい。
2016年06月03日 08時48分の測定結果
体重:96.25kg
体脂肪率:30.10%
筋肉量:63.80kg
体内年齢:42歳
とりあえず体重はキープ。キープっていうのは、痩せている体重に対して使う言葉ですよ。そんなことねえよ! キープはキープだろうが!!
まあ、ちょっとね。痩せるはずがない食事をしてしまったから、これに関しては何も言うまい。今日から頑張れば良いことだ。
そう思いながら俺は雑事をこなしていた。いや実は、六月祝日ない問題にあまりにも腹が立ったので、6/3は俺の中で山の日! ということにして休みをとっていたのである(正しくは8/11)(8月に休みとかおかれても)。
今日こそはジムに行くぞ! (四日目)
あとまあ、なんか食事的なところでも工夫をする必要があるな。
そう思いながら、とりあえず俺は残ったシチューを食べていた。
朝:シチュー(最後)+パン1枚 550 kcal.
シチューを食って分かったことは、これはなんというか、油そこそこ多そうなわりに、腹にたまらないので、結局昼までを凌ごうと思うとパンとかがいる感じになることである。だからダイエット食としては不採用。でも俺は山崎まさよしが好きで、「お家に帰ろう」を聞くと条件反応的にシチューが食いたくなる病に侵されているのが困ったところである。「中華料理」で中華が食いたくはならないので大丈夫です。
それで殊勝に、真摯に、無垢なまなこで、昼は卵でも茹でて食いましょうか、チーズかなんか買ってきてね、と思っていたところで、LINE通話の知らせがあった。
「お前は今日休みらしいな。我もそうである」
という知人からの通知であった。
えー。と思った。
俺はほら、ダイエットで忙しいんだよ。正確に言うと、ダイエット的な食生活をしているにもかかわらず雅島さん痩せないの可哀想、と思われるのに忙しいんだよ。食生活荒れてると誰も同情してくれない訳よ。
という思考は一瞬よぎった。本当だ。信じてくれ。
俺は心静かに痩せる的行動をとろうとしていたんだ!
いや本当に、真剣に、心から言いますけどね。
この俺の食生活を書き始めてから突然、まずは虫歯でしょう。で、初日の映画に関しては俺発信なので俺が100……は言いすぎだな、80くらいは悪いと思うんだけど、二日目の寿司はほんとにそんな、なんていうかな、レアイベントなのよ。
で三日目ね。これは飯を食う流れですよどう見ても。外食は太るんだって。
もう皆さんもそろそろ思ってるんじゃあないかと俺は危惧している訳ですよ。
何かっていうと、「こいつ、自分が物を食いたいがために、他人を利用して物を食べて、『こりゃあしょうがないですよね~~』って言おうとしているんじゃあないか?」って疑われているのではないかと。あるいは、「究極、一人で寂しく飯食っているのに、そう書くと誰も同情してくれないから、他人の同情を誘うためだけに、『架空の知人』のことを書いているすごく寂しい人間なんじゃあないか」と。
いやまあ前者はともかく後者だとしたら、それはそれで同情して欲しいし、かわいそうすぎるだろ。友達になってやろうよ、そういう子にはさ。
でも違う! 本当に偶然なんだ! 言い募ることしかできず、言い募れば言い募るだけ嘘に見えるこのネット社会が憎い!!
俺の体重には多分女神の加護かなんかがついているんですよ。
『ステータス!』
って叫んだら、虚空にステータスウインドウが現れて、『
ただまあね。知人の誘いを無碍にするのもね。ほら、人間は共同体の中で生きるってさっき言いましたよね。その共同体のルールが善だから。それは仕方ないという話になった訳ですよ。
でまあそういうことで、
昼:お好み焼き(518 kcal)、もんじゃ焼き(227 kcal)、ビール(202 kcal)。
(実際は、お好み焼きともんじゃ焼きはシェアしたので、半量の373 kcalということにしておきましょう)
いやいやいやいやいやいや。わかる。言いたいことはすっごく分かる。
「何故粉ものなのか」
「ましてビールとは」
説明しよう。いやこれに関しては説明したってダメなのはわかるけど、でも言い訳はさせてくれ。
まずですね。
「どこか遠くへ行きたい」
という話になったのであるが、どうも北海道はどこも悪天候で、花に嵐のたとえもあるぞ、さよならだけが人生だ、そういえば歯の治療待ちの時に雷鳴が轟いていたが、あれがために花的なものとかも散ってしまっているというのである。
だったら、温泉にでも行きましょうと俺は提案した。デトックスだし。サウナでも入りゃあちょっとは痩せるだろと思ったし。天気ほとんど関係ないし。
そったらなんたら失礼なことに、俺と温泉に行ってもつまらんというわけですよ。お前なんで俺を呼んだんだよじゃあ。
我々は険悪、一触即発の空気になった。
お互いがお互いの虚を突き、隙を見てこいつの
「平日19:00まで、ビール一杯目半額!」
「今日は平日だ」「おっしゃる通りだ」「一時休戦をしよう」「そうしよう」
となって我々は風月に飛び込んだ。
つまりその、なんていうかなあ。これは和平の儀だった訳ですよ。桃園の誓いみたいな。もう俺たちはバカな争いはしないよ、っていう。
最初っから、粉ものを食べましょう、ビールも飲もうってんで入ったんじゃあないですよ。
不穏な空気が流れましてね。その緩和のために。
ヤマタノオロチを倒すのには、お酒を呑ませてちょっと酔わせてからね、みたいな、そういう、イベント進行のための必要なキー・アイテムとしてね。
決して「午っからいっぱいビールを飲みましょう」「Hoo-ah!」ってなって入ったんじゃあない、ということだけは分かってほしんだよ。本当なんだって。
ただまったく余談だが、ここで糖質制限ダイエット等の話をして(粉ものを食いながらする話か)、知人も健康診断の結果7 kg太ったことが分かったという話を聞いた。7 kgはやべーだろ(お前の方がやばいよ)(知っている)。
つまり「類は友を呼ぶ」ということわざは正しい。はい。そうですね。デブ類がそういう幟見ちゃったらダメなんだよ。もう終わりだ。
で、ビールを飲んだことで遠出、という選択肢は半ば消えた。車に乗れなくなったからだ。仕方がないので映画でも観ようという話になり、目当ての映画の上映時間まではそのあたりをそぞろ歩いたりしようということになった。
少々歌をうたったりもした。今のカラオケマシンは、歌うと消費カロリーが出てくるので、なんとなくダイエットをしたような気持ちになる。一曲平均10 kcalの消費が出来るぞ! やったー!
やったー! じゃあないのは良く分かっている。だからこの消費カロリーについて、俺は合計これだけ消費しましたよ、とか書いてないでしょう?
で、こうやってぼけらっと時間を過ごしていた結果、われわれは映画の上映時間を逃した。逃すんかい! 逃したのよ。アホかなと思った。というかまごうことないアホだった。
「どうするんだ」
と路上販売のクレープを食いながら知人が言うので(うわー、だから太るんだよ。デーブ、デーブ!! ちなみに俺は我慢した。偉いと思う)、
「知らんよ」
と俺は答えた。解散しよう、もう、とも言った。
今ならまだ引き返せると思ったからだ。
夕食はまだ食べていないし、このクレープ人間と一緒にいると際限なく飯を食ってしまう。コミュニティと繋がっていては人間はいつまでたっても痩せられないのだ。全員に絶縁状を送ろう。孤立ダイエットだ。
「じゃあ今から夕食を食おう」
と知人は言う。お前今クレープ食ってなかったか?
「だから、こう、地ビールを飲ませる店がある。ご飯っていうか、なんていうの? 時間つぶし的な」
「時間つぶしなら喫茶店の方が良いのでは」
「映画館の真下にあるから、時間効率が良い」
「この期に及んで時間効率とは」
で、地ビールを飲みに行くことにした。もう長くなりすぎたので言い訳はやめておきますね。人間・社会・紐帯・正義。このあたりの語で各自どうぞ組み立ててください。
夜:コリアンダービール(202 kcal? コリアンダーってなんだよと思ったら、パクチーみたいなものらしい。確かに後味がのうぅ、ってなる感じで、一杯目には向かなかった)、甲州ワイン(77 kcal)、ウインナー盛り合わせ(300 kcal?)、クリームコロッケ(203 kcal)、ミックスナッツ(今調べたらナッツってカロリークソ高いのね。100 gで、585,1 kcalらしい。うげー。まあ20 gくらいかなあ、食べたのは/ 117 kcal? 満足度-カロリー比が悪い)、レバーパテとバケット(もうこのあたりは完全にやけくそというか、ふつうに飯的なものが食いたくなっていた(パテ:160 kcalくらいかなあ、バケット:166 kcal)
一食1,225 kcal!!!! あーもう。もう。もーー!
いやもう行かないぞ。俺は。そう気軽に飲みには。本当だ。
で、オチは、それで話をだらだらしていたら二回目の上映時間も逃しましたということです。究極の無駄な休日だった。仕方ないのでゲームセンターに行き、マリオ&ソニックのオリンピックみたいなやつ(体動かせるかと思って)やったら、100円でできるプレイ時間がすーーーーーっげえ短くて、おいこれならまだ太鼓の達人やった方が痩せたんじゃあないかな(どっちみち痩せません)という感じになった。
ということで6/3の摂取カロリーは、2,350 kcal。
2,000 kcal切らないなあなかなか。
これを切っていかないとさ……痩せないだろ……。どうせ痩せないんだけど、「痩せない」ことを納得してもらえないだろ。
はあ。溜息をつきながら、今朝俺は体重計に乗った。
2016年06月04日 06時49分の測定結果
体重:95.85kg
体脂肪率:30.30%
筋肉量:63.35kg
体内年齢:42歳
……しかもこれで体重自体は減るのかよぉーーーー!!
こうなってくると。これだけ食って体重減るってなるとよ。
じゃあ食わないで走れば痩せるのでは?
こうなってくるといよいよ俺の理論が。
いやあ、不味いですね。困りましたね。
ちょっと手を打ちましょう。なんとかします。
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