1日目

「目が覚めたのか!」

「先生呼んできて!」

「ご家族にご連絡を!」

忙しなく足音が廊下を駆け抜けていく。

どうやら私は長い間意識が無かったらしい。

カレンダーを見ると、私が自殺を図った日から2週間ほど経っている。

「本当に良かった。」

「これでご家族も安心だな。」

聞こえてくる声は、明るいものばかり。

そんな雰囲気とは裏腹に、私の顔は暗く沈んでいた。

(死ねなかったのか…)

また迷惑を掛けてしまったと自嘲する。

私は4つ子である。下に2人、上に1人。

私は次女だ。

明るく頼りになる鬼灯(きとう)家長女、彩香。(さやか)

真面目で優秀、皆の憧れ。鬼灯家三女、実紀。(みのり)

しっかり者で皆から愛される鬼灯家四女、朱莉。(あかり)

自慢の私の姉妹。

それに比べて私はどうだろう。

成績は中の上。おまけにドジでとりえは笑顔だけ。

皆に迷惑をかけてばかり。

そんな私を皆も疎ましく思っているようで、喋りかければ無視したりと酷い有様である。

最初の頃は、まだ笑い飛ばせた。

それが、だんだん私を殺していった。

辛くて苦しくて仕方なかった。

それでも、耐える事はできた。

でも…あの日。ある出来事が起きた。

思い出すだけで震えが止まらなくなるほどの出来事が。

信じていたものに裏切られ、絶望し、生きる意味を失ったあの日。

私はどうすれば良かったのだろうか…

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