Vision

秋岸

プロローグ

プロローグ


目を覚ますと目に入ったのは見知らぬ天井だった。

(ここは…)

目だけで部屋を見渡すと、ずらりと並んだ機械類と私を見下ろす透明な袋が見えた。

その袋から伸びたチューブは私の身体の中へ延々と液体を流し込んでいる。

私は、自分の置かれた状況を理解する。

(ここは…病院か。)

ぼんやりと記憶が蘇る。

(頭が痛い…)

出来れば思い出したくなかった。

あの時のことなんて…

優しく暖かな春の陽気とは対照的に、私の心は暗い闇へ沈んでいく。

私が何故病院に居るのか?


それは、私が「自殺」を図ったからだった。

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