56.つくば市立図書館 - 共感覚がテーマの本
駅前、市の中心部に図書館と美術館と博物館が建ってるなんて、学園都市の名は伊達じゃないわよね。
平日だったら夜七時までやってるから中も案内できたのだけれど、休日は五時くらいに閉まっちゃうんだ。ブックポストに本入れてくるから、少しだけ待ってて。
はい、ただいま。
何の本を読んでいたのかって? 「うたがみえる きこえるよ」って絵本と「マンゴーのいた場所」って児童図書よ。共感覚がテーマだからって、勧めてもらったの。
感想? そうねぇ……。
「うたがみえる きこえるよ」は純粋に綺麗な本だったわ。作者はエリック・カール。はらぺこあおむしの人って言うと知ってるかな?
共感覚を絵本と音楽の融合によって表現しようという取り組み、素敵だと思う。彼の扱う色彩、黄色と言えば黄色なんだけど濃淡が混ざっている感じ、私の共感覚に近いものがあるから読んでいて気持ち良かったわ。
「マンゴーのいた場所」は共感覚の少女が主人公の青春小説よ。
本来なら共感覚がある世界を楽しむための本なのだろうけれど、私にとってはごく普通の青春小説だったなぁ。共感覚はあって当たり前のものだからね。主人公の少女がした経験も、私にとってはごく凡庸なもの。
途中で共感覚と解離についてオカルトな勘違いを起こすのも、まぁ、共感覚者なら誰でも通る道かなって感じ。
逆に言えばここまで共感覚者に「普通」と思わせる共感覚小説が書けるの、すごいわよね。筆者はよほど念入りに調査したか、共感覚者なのかもね。
共感覚がある普通の日常を細やかに綴るだけで、日本語に翻訳出版されるくらい広がってゆくんだね。
だったら私が普段考えていること、感じていることも頑張って書けば、誰かが楽しんでくれるかもしれないなって。
引き続きネタ出しの付き合いよろしくね。
さ、松見公園に向かいましょうか。すぐ近くだよ。
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