39.エビリファイ - 何もない場所の色

 なんだか綺麗な色がしてる。

 「色がする」って日本語すごく変よね。でも色は感じるけど自分の感情のせいか、聞こえてる音のせいか、見えてる物のせいか分からないときは便利な表現なの。

 何だろう。綺麗な瑠璃色。立ち止まって探してもいい?

 芝生広場を横切る道のど真ん中。こんな何も無いところで立ち止まって、変な人に見えるでしょうね。私にとっては確実に瑠璃色があるのだけれど。

 割とよくやるの。素敵な色が見えるとこうやって止まって探しちゃうのよね。

 いつだか、何もない歩道で止まっているのを主治医に目撃されてね。次の診察で抗幻覚薬を処方されそうになったわ。危なかった。

 人に声かけられたときは「タマムシが通った気がして」って言い訳してる。声掛けてくれるならまだ良いわよね、言い訳できるから。クリエイターズハウスの周りで不審者扱いされてないといいけれど。


 ああ、この瑠璃色、あれね。針葉樹林の色だ。

 針葉樹のカタチによる色なのか、針葉樹という言葉で湧いてくる色なのかは分からない。でも、針葉樹林が視界に入るとこの瑠璃色が湧いてくるのね。

 綺麗だなぁ。

 もし花粉症じゃなければ、針葉樹林の中通ってもいい?

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