27.ハードコアの採用と放棄 - 共感覚とおばけ
え、何? 上の階で物音? 誰もいないはずなんだけどなぁ。
……おばけ? やめてよ。そういう話苦手なんだから。
理系らしくないとか言わないでね。理系だからよ。
大学に入るまでは、「おばけ」や「神」は存在しないと信じていたわ。科学的じゃないから。
でも大学に入って知ったの。科学は常に不完全で発展途上だって。言えるのは「あった」「ありえる」「可能性は非常に低い」だけ。そんな科学で観測も表現もされないからって「おばけ」は存在しないとするの、それはそれで不安がない?
定義する言語がないだけで、語れないだけで、存在はするかもしれないのよ? いつか見付かるかもしれないのよ。かつて憑依と呼ばれていたものが、統合失調症や認知症だったように。呪詛と呼ばれていたものが、ペストや破傷風だったように。
そしてオーラや霊視の一部から、共感覚が見出されたように。
その人への親しみや人格の印象が色として見える人がいるわ。これはオーラと呼ばれることもあるけれど、共感覚の一種だと考えられているそうよ。
私とあなたには語り得ないだけで、上の階には誰かにとっての何かが居るかもしれないのよ。我々には知覚できないけれど、特殊な体質の人には感じる、どこかの学問なら定義できる、未来の計器なら観測できる何かが。
自分という例外を見てしまった以上、私は霊感体質を否定できない。「おばけ」ではないにしろ、新しい名前を与えるべき何かが、誰かに見えている可能性に頷くしかない。
声に色が見える私だって見方によっちゃオカルトだものね。よく霊感体質なのかって聞かれるわ。何もないところを凝視していたり、人には見えない色で遊んでいたりするから、カルト村に生まれたら大変なことになっていたでしょうね。
だからってオカルト商法を肯定するわけではないよ。人の不安や縋る気持ちを、お金に変えるなんて。何の解決も与えていないのに。時に健康を害したりもするのに。どうかと、思う。
悪質な疑似科学って科学の「絶対にありえないとは言えない」という隙間を上手く突いているわよね。
また物音。
え? 外に自転車があったって? なんだ。誰か来ていたのね。そういうことは早く言ってよ。
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