月面

新月には何もない。一筋の光も発さぬ無であり0であるが、目を凝らせば夜空に月がある事はわかる。古代インドで発見された0という概念にも新月の影響があるかも知れない。



「深海魚ってみんな光ってるんだな。探知できないだけで存外、人間も光っているかも知れない。テカってる人が多いだけに、光ってる人について探求するのも良いと思うよ」

「でも、人類は深海魚ではなく、地上の生き物だから、自ら発光物質をつくる事なく、光ってるかも知れませんよ。例えば太陽光の反射なども光ってる人の一種かも知れませんね」



竜は最後の罰を下す為に何者かによって作られ、体は大きな鎖によって繋がれている。鎖は終末を望む巨人たちによって作られ続けており、すでに世界を飛び回れる長さになって久しい。残忍ではなかったが、優しくも無かった。時折、月を眺めて綺麗だと思った。竜の力で月は少しずつ地球に近づいている。

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