記憶について、他

アフリカの奥地のジャングルでチェーンソー片手にチンパンジー軍団と戦いながら、東京の片隅の公園で、夕日に照らされた君の横顔を不意に思い出す。あの時は何も言えなかった。空に飛んでいった風船は確か赤だった。仲間がまた一人倒れた。チンパンジーが雄叫びを上げる。




<記憶について>ある日、記憶の底ではなくフチを辿れる事に気付いた。記憶の入れ物はコップのようなものらしい。そのフチを辿っていくと、フチに腰掛けている人が見えた。それが誰か分かったあたりでコップから記憶があふれ出した。こんな所で会えるなんてね。




月には何もないんですよ。茂さんはそう言ってビールを飲む。何も無いという意味でも、遠くから見てると奇麗だという意味でも、月と富士山は仲間です。あと、一生に一度は行ってみたいという意味でも仲間ですね。そういって茂さんは僕の団子を食べる。




108の悪いものを守りきれなかったパンドラの箱はオリンポスを無事解雇され、流れに流れた東の果てで、玉手箱として竜宮城に雇われました。いまでも少し自分は開けられやすいのではないか? という不安な気持ちがあるのですが、乙姫様も良くしてくれるので、この竜宮城でしっかりやって行きたいと思っているのです。




空から世界のかけらが落ちてきた。すっと僕をかすめてカランと道に転がった。実際には空中で爆発した飛行機のかけらだったけど、僕には誰かの世界のかけらのように思えた。今は大事にしているけれど、いつか捨てるんだと思う。だって他の人のものだからね。






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