第4話 松明最強説

悲しい過去を捨てよう。

新たなる人生を歩むのだ。


新規ワールド作成を……。

あ、その前に過去は捨てるんだ。不幸な過去を捨ててこそ、あたらなる人生。

ってことで、削除ボタンをポチッとな。


よし、気を取り直して、新規ワールドを作成。

もちろんサバイバルだ、人生はサバイバルだ!


ワールドを読み込み中……


その間にふと考える。


(ああ、また孤島だったら。何回やっても何回やっても……)


脳裏に浮かぶエアーマンの唄。


(でもまた削除&作成すればいいか)


一度犯罪に手を染めたら、次のハードルは低くなるってあの心理ですな。ちょっと違うかもしれないけど。


やがて新しい世界が目の前に広がると、


木がある!!

いっぱいある!!


それだけで不幸は消え去った気がしたっけ。

バイオーム(気候・天候・地形 エリア)って言葉すら知らなかったけど、木があるだけで幸せだったあの時。


とりあえず辺りを見渡すと、木がたくさん。

遠くに高い山がある。

素晴らしい世界だ!(とこの時は思っていた)


さて早速、セオリーどおりの木を切る作業。

今回はオークの木がいっぱい生えているので、素手でポコポコポコと木を切る作業もそんなに痛そうじゃないね。


浮かれつつも作業台を作り、そして斧と、剣を作成。


よし、完璧!


じゃない。

また夜が来ちゃうから、その前に食べ物を確保しなくちゃ。

と思ったら伐採した木から林檎が落ちてきた。


やったね!


もうこれでしばらく空腹地獄からは逃れられる。

ってことで次は拠点作り。

木のあるところから、開けた川の近くへ移動。急いで土を集めて、夜を過ごすための場所を作成。確か5×5×5ぐらいの家とも呼べないものを作って夜を迎えた。


やがて聞こえてくるゾンビの声。


がーごーがーごー


ってか、あれはいびきだよね。親父のいびきにそっくりだし。


カランコロンカランコロン


スケさん(スケルトン)の歩く音も聞こえてくる。


やだなぁ、早くベッドってやつを作りたいなぁ……。

と思いつつ、夜が明けるのをひたすら待つ。

今回は水没のトラウマから、余計なことはしなかった。

だって松明1本しかないんだもん……。


そうして待機していると、


ぐぁ~しぐぁ~しぐぁ~し、ぐあぁぁぁぁーー(と私には聞こえる)


間違いない、ゾンビが太陽光線で燃えている音だ!

朝が来たんだ!

喜び勇んで囲いに穴を空けて外に出る。案の定ゾンビとスケルトンに燃えていた。


太陽最高!!


じゃなかった。蜘蛛とクリーパーはいるじゃないですか。蜘蛛は昼間は大人しいけどクリーパーはなぁ。

まっ、いいか。

ってことで、今日は本格的に家を作るぞ!

と思って夢中で、土を掘る掘る掘る掘る……


チリチリチリチリチリ


え?


バーーーン!!


グアァァァ……ヤラ( ゚∀゚ )レタァァァァ!!!


リスポーンしますか?



こうして最初の死を迎えたのであった。


くっそ、クリーパーのやつ、ホント嫌い。マジ嫌い。

泣く泣く最初のスポーン場所からやり直し。

あ、えっと、ここはどこ?


わりと移動したんで川が分からない。今なら太陽を見て位置を確認できるけれど、その頃はまだサバイバル知識がほとんどなかったから。(相変わらずGoogle先生で調べようとかしていない私)


うろうろして、ようやく見つけて、せっかく作った剣も斧も集めた木材もぜーんぶ消えて、そしたらまた夜が来ている。

もうやだよ、このゲーム……。

という泣き言を言いつつも、土集めて、今度は3×3×3の身体を隠すだけのものを作って、二日目の夜を迎える。


ここまで書いて、ふと思う。

あれ? 私って超下手っぴじゃね?


それはともかく!

ふたたびゾンビとスケさんが燃える音がして、朝が来て、蜘蛛とクリーパーがいて、だけど今度はクリーパーにビクビクしてたんで、爆死は免れた。

川のそばにあった木をポコポコポコ切って、林檎を手に入れて……。


いつになったら先に進めるんだよ、私


と思っていたら、なんと!

クリーパーが爆発した下に、石炭があるじゃあーりませんか!

匠ってあだ名は嘘じゃなかったね。

まさしく匠の仕事だ。


大喜びで掘り出し、手に入れた石炭30あまり。

超大金持ちになた気分。

石炭があったら、松明が作れるんですよ、奥さん!

松明はマイクラの世界では最強ですからね。なんたって土と砂が掘れる、マグマも止められる、水も止められる、それよりなによりモンスターを沸くのを防げる。


松明最強!!


つーことで、切った木材と合体させて、作った松明120あまり。


ひゃほー!!って、辺り一面に置きまくる。


松明てやっ!

松明てやっ!!

松明てやてやてやっ!!


そうしてすべての松明を置いてしまった私であった。


あれ? 家の分は?


と過去の私に突っ込みたい……。


(つづく)

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